犬の眼瞼腫瘍について|まぶたにできる腫瘍は良性が多いって本当?
犬のまぶたの腫瘍は、ほとんどが良性腫瘍と言われています。
しかし中には悪性腫瘍もありますので、経過には注意が必要です。
まぶたと言っても、まぶたの表と裏の粘膜で、できやすい腫瘍も異なります。
今回はそんなまぶたにできる腫瘍について解説していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬のまぶたにも注目してみてください。
犬の眼瞼腫瘍とは
犬の眼瞼腫瘍は日常の診察でよくみる腫瘍です。
顔にできることから、飼い主様の発見が早いことも特徴です。
マイボーム腺腫とも言われる皮脂腺腫という良性腫瘍がまぶたにできる腫瘍で最も多いと言われています。
まぶたで発生の多い腫瘍は、他に
- 乳頭腫
- 良性の黒色細胞腫
- 悪性黒色腫
- 肥満細胞腫
- 扁平上皮癌
などがあります。
まぶたの裏にできる腫瘍は
- 悪性黒色腫
- 線維腫
- 線維肉腫
- 扁平上皮癌
- 肥満細胞腫
などがあります。
まぶたの裏の腫瘍は発見が遅れてしまう傾向にあり、
「まぶたが腫れている」
「目が開かない」
という相談でこられることもあります。
眼瞼腫瘍は見た目で種類がわかる?
診察ではよく「見た目でしこりが良性なのか悪性なのかを判断できるか」と聞かれます。
まぶたの腫瘍はその見た目から「絶対に良性」「絶対に悪性」とは判断できません。
だからと言って、しこりの見た目をないがしろにすることもできません。
悪性を疑う見た目は、
- しこりの表面がボコボコしている
- 大きくなるスピードが早い
- しこりが増えている
などがあります。
良性腫瘍の多くは
- イボのような形
- 大きくなるスピードがゆっくり
- 孤立している
などがあります。
注意が必要なのは、悪性でもイボの様な形をしているものもありますし、良性でも表面がボコボコしているものもあります。
自己判断で様子をみず、必ず動物病院でみてもらってくださいね。
検査方法と治療方法
しこりの見た目では腫瘍の種類の特定は難しいため、細胞診や病理検査というしこりの細胞をみる検査を行います。
細胞診で悪性腫瘍が疑われる場合は、病理検査を実施する必要があります。
しこりが小さい場合は、針をさして細胞を取る細胞診は難しい場合が多いです。
その場合は敢えて細胞診はせず、手術でしこりを取って病理検査を行います。
良性腫瘍の場合は、病理検査のためにしこりを摘出することが治療となります。
病理検査で悪性腫瘍という結果だった場合は、摘出した組織の端にがん細胞が残っているかどうかで治療が変わります。
がん細胞が残っていない場合
他に転移していなければ治療は終わりです。
ただし、再発や転移が起こらないかを定期的に検査する必要があります。
がん細胞が残っている場合
前回摘出した部分よりも、広めに組織を摘出する必要があります。
構造的に拡大切除が困難である場合や何かしらの理由で手術ができない場合は、抗がん剤や放射線治療などで治療します。
まとめ
今回は犬の眼瞼腫瘍について解説しました。
犬のまぶたにできるしこりは良性が多いですが、悪性腫瘍の場合もあります。
見た目で診断できることは少ないため、獣医師とよく話し合い検査や治療方針を立てていきましょう。
まぶたの手術は、手術により外貌が変わることもあります。
しこりが小さいうちに摘出できると、外貌の変化も少なく済みます。
当院は腫瘍の診療に力を入れている病院です。
「あれ?ものもらいかな?」
「前もあったし、またイボでしょう」
と様子を見ずに、気になるしこりがある時は早めに当院までご相談ください。
福岡県春日市の動物病院
すわ動物病院