みなさん、こんにちは。
雪が積もったと思ったら、暖かい日が続いたり、
気温の変化に体がついてきません。。
先日の1月25日、26日は学会出席のため臨時休診でした。
みなさまにはご迷惑をおかけいたしました。
いつもご理解のほど、ありがとうございます。
大阪で行われた日本獣医がん学会に参加してきました。
脊髄の腫瘍や猫の肥満細胞腫、症例報告など、
とても勉強になり、アップデートすることができました。
日々の診療に活かせるよう、精進いたします。
さて、本日は犬の乳腺腫瘍について説明したいと思います。
はじめに
乳腺腫瘍とは、犬において一般的に見られる腫瘍の一つです。
特に未避妊の雌犬ではその発生リスクが高く注意が必要です。
この腫瘍は良性と悪性があり
早期発見と適切な治療が重要です。
今回は、乳腺腫瘍について詳しく解説します。
乳腺腫瘍とは
乳腺腫瘍は、犬の乳腺組織に発生する腫瘍です。
雌犬の腫瘍性疾患の中で最も多い腫瘍で、
特に未避妊の雌犬や高齢犬に多く見られます。
乳腺腫瘍の約50%は良性である一方、残りの50%は悪性であり
迅速な診断と治療が必要です。
症状
乳腺腫瘍の主な症状は以下の通りです
- しこりや腫れ:乳腺周囲にしこりや腫瘍が触れる。
- 腫瘍の変化 :腫瘍が急激に大きくなったり、硬くなる。
- 炎症や潰瘍 :進行した場合、皮膚の発赤や潰瘍化が見られる。
- その他の症状:悪性の場合、呼吸困難や食欲不振など、転移による全身症状が現れる。
ただ、ほとんどの症例はできものがある以外、症状はほぼ出しません。
診断のための検査
乳腺腫瘍と診断するために、以下の検査が行われます。
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視診および触診 乳腺にしこりや腫瘍がないか視診、触診にて確認します。
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細胞診検査 腫瘍部位から細胞を採取し、顕微鏡で観察します。
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病理組織検査 腫瘍の一部を切除し病理学的分析を行います。腫瘍の種類や悪性度を評価するために重要です。
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画像診断 レントゲンや超音波検査を使用し肺や内臓への転移がないかを確認します。
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血液検査 全身状態を評価し、治療方針を決定するための重要な情報を得ます。
治療法
乳腺腫瘍の治療は、腫瘍の大きさや悪性度、転移の有無によって異なります。主な治療法を以下にご紹介します。
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外科的切除 最も一般的な治療法です。腫瘍部分だけでなく、転移の可能性を考慮して乳腺全体やリンパ節も一緒に切除することがあります。
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化学療法 悪性度が高い場合や転移がある場合に行われます。抗がん剤を使用して腫瘍の進行を抑えます。
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放射線治療 外科的切除後に残った腫瘍細胞を減少させるために用いられることがあります。
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ホルモン療法 一部の乳腺腫瘍はホルモン感受性があるため、ホルモン療法が有効な場合があります。
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支持療法 痛みの管理や生活の質の向上を目的として、鎮痛薬や抗炎症薬が用いられることがあります。
基本的に、1の外科手術が第一選択となります。
予防策
- 早期の避妊手術:初回発情前に避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍の発生リスクを大幅に減らすことができます。
- 定期的な健康診断:早期発見のために、定期的に動物病院で健康チェックを受けることをお勧めします。
- 日々の観察:飼い主様が愛犬の体の色々な場所を触り、異常を早期に発見することが重要です。
おわりに
乳腺腫瘍は早期発見と適切な治療が鍵となる疾患です。
飼い主様が日々の観察と早めの対応を心がけることで、愛犬の健康を守ることができます。
気になるしこりや腫れを見つけた際は、ぜひ早めに当院へご相談ください。
最新の知識と設備で、皆さまの大切な家族をサポートいたします。