みなさん、こんにちは。
だいぶ暖かい日が多くなり、春の訪れが近い感じがしますね。
この時期になると、フィラリアのシーズンが始まるなと感じます。
先日、当院の超音波機器を新しく追加しました。
最新の超音波機器になります。
これまで以上に綺麗に臓器をみることができます。
病気の早期発見、早期治療、診断精度の向上に
つなげられるよう精進いたします。
当院では、より良い医療の提供のため、
少しずつ設備のアップデートを繰り返しています。
超音波機器の導入に伴い、診察室の配置を少し変更しました。今までと90度立ち位置が変わるのでやや変な感じがしますが、
暖かい目で見守っていただけますと幸いです。
では、本日は猫の乳腺腫瘍についてです。
はじめに
乳腺がんは、猫における乳腺腫瘍の中で最も多い悪性腫瘍です。
特に「高齢の未避妊の雌猫」に発生しやすく、
その悪性度は非常に高いため早期発見と治療が重要になります。
乳腺がんとは
乳腺がんは、乳腺組織の上皮細胞ががん化することで発生する悪性腫瘍です。
猫の乳腺腫瘍の約85〜90%は悪性とされ、その多くが乳腺がんです。
この腫瘍は一般的に急速に進行し、肺やリンパ節、その他の臓器に転移していきます。
発生リスクを高める要因
- 未避妊:発情を経験した雌猫での発生率が高いです。
- 高齢:8歳以上の猫で発生率が上昇します。
- ホルモン:エストロゲンが腫瘍形成に関与している可能性があります。
症状
乳腺がんの症状は進行するにしたがって明らかになります。
以下は主な症状です。
- 乳腺のしこり:乳腺にしこりが触れるようになる。
- 腫瘍の増大:時間とともに徐々にしこりが大きくなる。
- 炎症や潰瘍:進行した場合、皮膚が赤く腫れたり潰瘍が形成される。
- 体重減少:腫瘍の進行や転移により、食欲不振や体重減少が見られる。
- 呼吸困難:肺への転移がある場合に見られる。
診断のための検査
乳腺がんを確定診断するためには、以下の検査が行われます。
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身体検査と触診 乳腺やリンパ節の異常を確認します。
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細胞診検査 腫瘍から採取した細胞を顕微鏡で観察します。
悪性の可能性を評価する第一歩です。 -
病理組織検査 腫瘍の一部を切除し、詳細な病理学的分析を行います。
腫瘍のタイプや悪性度を判断するために重要です。 -
画像診断 X線や超音波検査を使用して、肺やその他の臓器への転移を評価します。
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血液検査 全身状態を把握し、治療計画を立てるために行います。
治療法
乳腺がんの治療は、腫瘍の大きさや進行度、転移の有無に応じて異なります。
主な治療法を紹介します。
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外科的切除
・腫瘍の完全切除が治療の中心です。
・転移の可能性を考慮し、腫瘍部分だけでなく
乳腺全体やリンパ節を一緒に切除することが一般的です。 -
化学療法
・悪性度が高い場合や転移がある場合に用いられます。
・抗がん剤を使用して腫瘍の進行を抑えます。 -
放射線治療
・残存腫瘍の縮小や痛みの緩和を目的として行われます。 -
支持療法
・痛みや炎症を緩和する事を目的とし、鎮痛薬や抗炎症薬を使用します。
予後
乳腺がんの予後は厳しい場合が多いです。
特に転移が進行している場合の生存期間は限られてしまいます。
しかし、早期に診断し適切な治療を行うことで、
生活の質を改善し延命を図ることが可能になります。
おわりに
乳腺がんは高い悪性度を持つため、早期発見と迅速な対応が重要になります。
日頃からスキンシップの一環として色々なところを触り、
異常がないかを確認する習慣が出来ると早期発見にも繋がります。
気になるしこりや症状を見つけた場合は、早めに動物病院へご相談ください。