みなさん、こんにちは。
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桜が一気に満開で、春を感じます。
今年は早いものでもう蚊が飛んでいるのを見かけます。
お散歩コース、生活環境で蚊がいる場合は早めにフィラリア予防を始めましょう。
はじめに
軟部組織肉腫(Soft Tissue Sarcoma)は、
犬において比較的多く見られる腫瘍の一つで、皮膚や皮下組織に発生します。
この腫瘍は一見、良性のように見えることがありますが、
実際には局所侵襲性が高く、再発や転移のリスクもあるため注意が必要です。
軟部組織肉腫とは
軟部組織肉腫は、結合組織(脂肪、筋肉、線維組織など)に由来する悪性腫瘍の総称です。
いくつかの腫瘍がこのグループに含まれますが、以下がその主な特徴です。
- 局所侵襲性:腫瘍が周囲の組織に深く浸潤する傾向があります。
- 転移のリスク:肺やリンパ節に転移する可能性がありますが、転移率は比較的低いとされています。
- 再発の可能性:不完全な切除の場合、再発率が高くなります。
症状
軟部組織肉腫の症状は、腫瘍の大きさや発生部位によって異なりますが、
一般的には以下のような症状が見られます。
- しこり:皮膚や皮下に硬いしこりが見られることが多いです。
- 痛みや不快感:腫瘍が大きくなると、痛みや周囲組織への圧迫感を引き起こすことがあります。
- 炎症や潰瘍:進行した場合、腫瘍表面が潰瘍化することがあります。
- 運動障害:四肢に発生した場合、跛行や運動の制限が見られることがあります。
診断のための検査
軟部組織肉腫を診断するために、以下の検査が行われます。
-
視診および触診
腫瘍の大きさ、位置、硬さなどを確認します。 -
細胞診検査
腫瘍部から針で細胞を採取し顕微鏡で観察します。
初期診断のための有用な手法です。 -
病理組織検査
腫瘍の一部を切除して詳細に分析します。
腫瘍の種類や悪性度を評価するために必要です。 - 画像診断
⚪︎X線検査
肺への転移がないか確認します。
⚪︎超音波検査
腫瘍の広がりや内部構造を評価します。
⚪︎CT / MRI検査
腫瘍の深さや隣接組織への浸潤を詳細に調べます。
5. 血液検査
全身状態を評価し、麻酔や手術の適応を確認します。
治療法
軟部組織肉腫の治療は、腫瘍の大きさや場所、進行度に応じて異なります。
以下に主な治療法を紹介します。
-
外科的切除
腫瘍を広範囲に切除することが最も一般的な治療法です。
不完全な切除を避けるため、健康な組織も含めて十分な「マージン」を確保します。 -
放射線治療
外科的切除後に残存腫瘍細胞を減少させる目的で使用されます。
手術が困難な場合の代替療法としても用いられることがあります。 -
化学療法
転移の予防や腫瘍の縮小を目的として行われますが、効果は腫瘍のタイプによります。 -
支持療法
痛みや炎症を管理するために、鎮痛剤や抗炎症薬を使用します。
予後
軟部組織肉腫の予後は、腫瘍の大きさ、切除の完全性、悪性度によって異なりますが
完全に切除できた場合、再発率は低く、長期生存が期待できます。
一方で、再発や転移が進行した場合、予後は厳しくなる可能性があります。
おわりに
軟部組織肉腫は、見た目には良性のように見える場合もありますが
その侵襲性を考えると早期診断と適切な治療が重要です。
愛犬の皮膚や皮下にしこりや異常を感じた際には、早めの受診をお勧めします。