みなさん、こんにちは。院長の諏訪です。
いつまで暑い日が続くのかなとやや不安になっていましたが、
ようやく涼しさが出てきましたね。
今年も残すところあと3ヶ月です。
やり残したことがないよう、日々を大切に過ごしたいものです。
9月14日は診療後、第3回電気化学療法研究会に参加してきました。
比較的新しい治療法の話を聞けて、治療の選択肢、可能性が広がる感じがしました。
とても勉強になりました。
また、先日の9月27日ー28日は休診をいただき、
東京で行われた第27回日本臨床獣医学フォーラムに参加してきました。
2日間、朝から晩までしっかり勉強してきました。
とても疲れましたが、知識のアップデート、新たな気づきなどがありました。
日々の診療に活かせるよう復習、アウトプット、がんばります。
臨時休診日が多いです!
10月も学会参加のため、休診日が多くあります。
5、13、18、19、26日は臨時休診となります。
また診療日の受付時間は9:00-11:30 16:00-18:30、
初診の方の受付時間は9:00-10:30 16:00-17:30となっております。
当院は予約制ではないため、待ち時間も長くなることがあります。
お時間に余裕を持ってご来院ください。
ご理解、ご協力、いつもありがとうございます。
よろしくお願いいたします。
はじめに
脾臓腫瘍は、犬の腹部に発生する腫瘍の中でも比較的頻度の高い腫瘍であり
「良性と悪性」の両方の可能性があります。
特に悪性の血管肉腫(Hemangiosarcoma)は進行が早く発見が遅れると命に関わるため、
早期発見・治療が重要になります。
脾臓腫瘍とは
脾臓は血液を貯蔵・濾過する臓器で、腫瘍が発生すると「出血や破裂」を引き起こす可能性があります。
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良性腫瘍
・血管腫
・線維腫、脂肪腫など -
悪性腫瘍
・血管肉腫(Hemangiosarcoma):最も頻度が高い悪性腫瘍
・リンパ腫、組織球性肉腫、平滑筋肉腫などもまれに発生・間質腫瘍
症状
脾臓腫瘍の症状は、初期には無症状のことが多く
『破裂や出血』が起きて初めて発見されるケースも少なくありません。
⚪︎元気消失
⚪︎食欲不振
⚪︎呼吸が荒い、動きたがらない
⚪︎お腹が膨らんで見える
⚪︎突然の虚脱、失神
⚪︎歯茎が白っぽい(貧血)
診断のための検査
脾臓腫瘍の診断には以下の検査が行われます。
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身体検査・触診
腹部に腫瘤があるかを確認 -
血液検査
貧血や炎症マーカー、臓器機能の評価 -
画像診断
X線検査:腹腔内の腫瘍の有無、サイズを評価
超音波検査:腫瘍の構造、血流、破裂の有無を確認
CT検査:手術前の詳細な評価に有用 -
穿刺・細胞診
出血のリスクがあるため、安全な症例に限って行います。
治療法
脾臓腫瘍の治療は、腫瘍の性質に応じて異なります。
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外科的切除(脾臓摘出術)
出血や破裂が疑われる場合には緊急手術となることもあります。
良性腫瘍であれば摘出により治癒が期待できます。 -
化学療法
血管肉腫などの悪性腫瘍の場合、手術後の補助療法として実施します。
ドキソルビシンなどの抗がん剤を使用します。 -
支持療法
貧血の補正(輸血)や鎮痛、栄養管理などを行います。
予後
『良性腫瘍』:完全に摘出できれば予後は良好です。
『血管肉腫などの悪性腫瘍』:再発や転移が多く、平均生存期間は手術単独で1〜3ヶ月、
化学療法併用で6〜12ヶ月程度とされています。
おわりに
脾臓腫瘍は突然の発症や進行が早いケースもあり、見逃すと命に関わることもあります。
日頃から様子を観察し、元気がない・お腹が膨れているなどの変化がありましたら
早めに動物病院を受診してください。