みなさん、こんにちは。院長の諏訪です。
かなり寒い日が増えてきました。
朝晩の冷え込みで人も動物も体調を壊しやすくなります。
小さな変化に気づいてあげてください。
臨時休診日のお知らせ
11月16、17、24日は臨時休診となります。
大変ご迷惑をおかけしております。
ご確認のほどよろしくお願いいたします。
診療日の受付時間は9:00-11:15 16:00-18:15となります。
受付アプリ「ペットPASS」を導入しております。
受付はアプリから行ってください。
導入して日が浅いため、ご不便をおかけしている点もあるかと思いますが、
待ち時間の軽減を目的としております。
また現在のところ大きな問題もなく、みなさまのスムーズな移行に
心から感謝申し上げます。今後もご協力のほどよろしくお願いいたします。

本日は猫の腎臓腫瘍についてです。
はじめに
猫の腎臓腫瘍は稀な腫瘍ですが、見つかった場合には進行が早く、全身状態に大きな影響を及ぼします
特に【リンパ腫】や【腺癌(腎細胞癌)】は注意が必要です。
腎臓は血液循環が豊富な臓器であるため、転移も起こりやすいとされています。
腎臓腫瘍とは
腎臓腫瘍は、「腎実質や腎盂」などに発生する腫瘍で、以下のような種類があります。
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原発性腫瘍(腎臓自体に発生)
・〈腎細胞癌(腺癌)〉:稀だが局所浸潤性が強く、肺などへの転移が多いとされています。
・〈腎盂癌(移行上皮癌)〉:腎盂に発生し、尿管へ広がることもあります。
・〈その他〉:腎芽腫、線維肉腫、血管肉腫など -
続発性腫瘍(転移性)
・他の臓器の腫瘍が腎臓に転移することもあります。 -
腎リンパ腫
・特に猫では腎臓に好発する悪性リンパ腫が多く見られます。
症状
腎臓腫瘍は初期には無症状のことが多く、進行とともに以下のような症状が出てきます。
⚫︎食欲不振
⚫︎体重減少
⚫︎嘔吐
⚫︎多飲多尿または乏尿
⚫︎腹部のしこりや腫大
⚫︎元気消失
⚫︎腹水や高血圧(進行例)
診断のための検査
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身体検査と触診
腹部にしこりが触れることもあります。 -
血液検査・尿検査
腎機能の評価(BUN、クレアチニン、SDMA)
貧血や白血球数の異常、尿比重や蛋白尿の確認 -
画像検査
超音波検査:腫瘤の存在、腎臓の形態評価
X線検査:腎臓の大きさや位置、転移の有無
CT検査:腫瘍の広がりや手術の可否を判断 -
細胞診または組織検査
超音波ガイド下で腫瘤を穿刺し、細胞診を行うことがあります。
治療法
腫瘍の種類や腎機能の状態、全身状態によって治療法が決まります。
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外科的切除(腎摘出術)
原発性腫瘍(腺癌など)で、反対側の腎臓が健康な場合に適応になります。
転移がない限りは根治的治療となる可能性もあります。 -
化学療法
腎リンパ腫に対しては第一選択とされます。
他の腫瘍でも補助的に行われることがあります。 -
支持療法
腎機能の補助:点滴、食事療法、薬物療法
痛みの管理や吐き気の制御などの対症療法
予後
▶︎腎リンパ腫は化学療法に反応することがあるものの、予後は数ヶ月から1年未満が一般的です。
▶︎『腺癌』などの原発性腫瘍では、転移がなければ外科切除により比較的良好な予後も期待できます。
▶︎腎不全の合併があると予後は厳しくなります。
おわりに
猫の腎臓腫瘍はまれですが、進行が速く、発見時には重篤な状態であることも少なくありません。
愛猫に食欲不振や体重減少、嘔吐などの症状が見られた場合は、早めに動物病院での検査をお勧めします。






