みなさん、こんにちは。院長の諏訪です。
9-11月は学会参加等のため臨時休診が多く、大変ご迷惑をおかけしました。
ようやく落ち着きました。
多くの温かいお言葉、ありがとうございました。
診療日の受付時間は9:00-11:15 16:00-18:15となります。
受付アプリ「ペットPASS」を導入しております。
受付はアプリから行ってください。待ち時間の軽減を目的としております。
ご協力のほどよろしくお願いいたします。

11月15日の午後から11月17日は休診をいただき、
東京大学で行われた小動物臨床血液研究会30周年記念セミナーに参加してきました。
東京大学はとてもきれいな学校で、緑が多く落ち着きました。
朝から晩まで血液学の勉強ができ、とても楽しかったです。
僕も顕微鏡ディスカッションで一題、症例を提供させていただきました。

翌日は東京に開業したJARVISどうぶつ医療センターtokyoの見学に行かせていただきました。
ロボット手術をはじめ、医学領域をも超える最先端医療の現場を見てきました。
獣医療の未来を感じました。とても良い刺激をいただきました。

翌日が火曜日であったため、土曜の午後から火曜日まで休診をいただき、
大変ご迷惑をおかけいたしました。
すこしでもみなさまに還元できるよう、勉強して参ります。
本日は比較的遭遇する頻度の高い犬の膀胱腫瘍についてです。
はじめに
犬の膀胱腫瘍は、泌尿器系に発生する腫瘍の中では比較的まれですが、悪性のものが多く
進行すると排尿障害や血尿などの深刻な症状を引き起こします。
最も代表的な腫瘍は「移行上皮癌(TCC)」で膀胱三角部と呼ばれる重要な部位に発生することが
多く、外科的治療が難しい場合があります。
膀胱腫瘍とは
犬の膀胱に発生する腫瘍には、以下のような種類があります。
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移行上皮癌(Transitional Cell Carcinoma, TCC)
最も一般的な悪性腫瘍で、膀胱三角部(尿道と尿管の接続部)に多く発生。
浸潤性が強く、膀胱壁や周囲組織、遠隔臓器(肺、リンパ節)へ転移することもあります。 -
良性腫瘍
乳頭腫、平滑筋腫などもまれに存在しますが、非常に稀です。 -
その他の悪性腫瘍
扁平上皮癌、腺癌、血管肉腫など。
症状
膀胱腫瘍は膀胱炎と似た症状を呈するため、早期診断が難しいことがあります。
⚫︎頻尿(何度も排尿姿勢をとる)
⚫︎血尿(明らかな赤色尿やうすいピンク色の尿)
⚫︎排尿困難(時間がかかる、出づらい)
⚫︎尿漏れ
⚫︎お腹を触ると痛がる
⚫︎食欲不振や元気消失(進行時)
診断のための検査
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尿検査
◦血尿、細菌感染、腫瘍細胞の有無を確認します。 -
超音波検査
◦膀胱内の腫瘤を確認し、大きさや位置を把握します。 -
X線検査
◦腫瘍の石灰化や骨盤内リンパ節の腫大などを評価します。 -
CT検査
◦詳細な腫瘍の位置・大きさ・浸潤度・転移の有無を把握します。 -
尿道鏡検査・膀胱鏡検査
◦内視鏡によって腫瘍の視認と生検(組織採取)を行います。 -
遺伝子検査(BRAF変異検査)
◦「移行上皮癌(TCC)」に特異的な遺伝子変異を尿から検出する非侵襲的な検査です。 - 組織検査(セルパックなど)
治療法
腫瘍の場所や進行度により治療法は異なります。
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外科手術
・三角部以外に限局している場合は切除可能です。
・三角部の腫瘍は切除が難しく、術後に再発することも多いとされています。 -
化学療法
・ピロキシカム(NSAID)などの非ステロイド系抗炎症薬に抗腫瘍効果があります。
・ミトキサントロンやカルボプラチンなどの抗がん剤も併用します。 -
放射線治療
・外科、化学療法が難しい場合の選択肢として使用されます。 -
支持療法
・排尿を助ける薬、抗菌薬、鎮痛薬などを症状の緩和を目的に使用されます。
予後
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移行上皮癌(TCC)の予後は腫瘍の位置・進行度・治療反応によって異なりますが
『平均生存期間は6ヶ月〜1年程度』とされています。
おわりに
犬の膀胱腫瘍は早期に気付きにくい腫瘍の一つですが
以前より排尿に時間がかかっている。排尿をしづらそうにしているなど排尿に関する症状がありましたら
早めに動物病院で検査を受けることをお勧めします。







