「腎臓の働き」と「腎臓病」について

泌尿器のイラスト

みなさんこんにちは、看護師の鈴木です。

今日は腎臓についてお話しします。

腎臓は臓器の中でも

比較的メジャーな臓器だと思います。

また、猫では腎臓病になる子は多く、

特に高齢の猫ではとても多い病気です。

【腎臓のはたらき】

腎臓のイラスト

 

 

 

 

ご存知の方も多いかと思いますが、腎臓は

「尿をつくる」臓器です。

でも、ただ尿を作るだけではなく

「血液をろ過して」尿を作るのです。

そんな腎臓の役割は大きく分けて3つあります。

1.〔エリスロポエチンの分泌〕

エリスロポエチンとは、

骨髄での赤血球の産生を促すホルモンです。

サラサラの血液

 

 

 

そのため、慢性腎臓病が悪化し

腎臓が機能しなくなると

エリスロポエチンの分泌がうまくいかず、

貧血が起こります。

また、エリスロポエチンの他にも腎臓では

「レニン」と言われる酵素を分泌しています。

レニンは血圧調節と関係している

アンジオテンシンⅡという

ホルモンの生成に関与しています。

そのため、腎臓病が悪化してくると、

高血圧の症状がでてくるのです。

2.〔尿中への老廃物や毒物の排出〕

腎臓は血液をろ過し、

血液中の老廃物や毒物を尿として排出します。

尿をしている犬トイレで用を足している猫

そのため、慢性腎臓病が悪化すると

老廃物や毒物(アンモニアなど)が

排出されず体内にたまり「尿毒症」が起こります。

尿毒症が起こると、腎臓病の重症度を表す

ステージ(4段階)中でもステージ4の腎不全に

分類され、体内に毒素が蓄積されているため

そのまま治療をしなければ生命に関わるような

深刻な事態になります。

尿毒症が起こるとアンモニアが体内に蓄積され、

蓄積されたアンモニアが血管から口腔内にでることで、

口臭がキツくなってきます。

3.〔水分調節、電解質の調節〕

腎臓では水分や電解質

(ナトリウム、カリウム、クロール、カルシウム、リン)

の調節を行なっています。

水分が十分に取れている人 少し脱水している人 かなり脱水している人

電解質は細胞の浸透圧を調節したり、

筋肉細胞や神経細胞の働きに関わるなど

体にとって重要な役割があります。

また、水分調節や電解質の調節がうまくいかなくなり

多飲多尿の症状や脱水、高血圧を引き起こします。

【腎臓病になった時の治療について】

点滴をされている犬 点滴をされている猫 錠剤、カプセル

腎臓病での治療はステージやその子その子によって

異なりますが

食事療法や投薬、点滴をおこないます。

腎臓病があり食事療法を行なっている飼い主様も

多いのではないでしょうか。

~腎臓病食について~

腎臓病の腎臓

 

 

 

 

総合栄養食(一般的なフード)と腎臓病食との

大きな違いは

「リン」と「蛋白」の制限がされていることです。

⚫︎リンの制限

リンの制限は高リン血症の抑制するために行います。

重度の腎臓障害があると、腎臓からリンが十分に

排出されなくなり高リン血症が起こります。

血液中のリンが多くなると血液中のカルシウムと結合し、

血液中のカルシウムの濃度が低下します。

(低カルシウム血症と言われる病態)

カルシム濃度が低下すると痙攣が起きる

可能性があります。

また、カルシウムとリンが結合することで、

これらの結晶が血管の内壁や組織で

形成され石灰化が起こります。

⚫︎蛋白の制限

蛋白の制限は尿毒症の抑制をするために行います。

蛋白質は体内で分解されるとアミノ酸になります。

そのアミノ酸が分解される過程で毒素となる

アンモニアが発生するのです。

⚫︎健康な犬猫での腎臓病食

ドッグフードのイラスト

 

 

 

 

よく、多頭飼育しているご家庭で同居の子が腎臓病食を

食べてしまっているというご相談を耳にします。

先ほど話したように腎臓病食は

リンと蛋白の制限をしています。

リンと蛋白は健康な子では

とても重要な栄養素の一つです。

健康な子ではリンが制限されていることで猫では

特発性高カルシウム血症のリスクにもなります。

また、蛋白が制限されていることで

筋肉量の低下を招きます。

多頭飼育の場合大変な部分もあると思いますが

腎臓病の子と健康な子で食事を分けましょう。


最後に…

腎臓病はステージや進行具合で治療法は変わってきます。

しかし、腎臓は一度悪くなると治療をしても

元の健康な腎臓には戻りません。

また、腎臓病が悪化すると

入院での治療が必要な場合もあります。

特に猫の場合、なかなか病院に連れて行くのが

難しかったり病院に連れて行く機会が減っている方も

多いのでは無いでしょうか。

定期的な健康診断や、爪切り、体重測定だけでも

良いので病院に連れて行くことで

動物自身も少し病院に慣れ、入院での治療が

必要となったときに精神的なストレスを

減らすこともできます☺️

愛犬愛猫のためにも、早期発見・早期治療ができるように

年に1回でも良いので定期的な健康診断や

日頃お家で出来ることとしては、

尿量や飲水量のチェックなどもしておくと良いでしょう🙆‍♀️

これから、本格的に冬が始まります。 

トイレや水飲み場やベットは寒い廊下や窓際は避け

過ごしやすい環境を作ってあげてください🐾

抱き合っている猫

 

 

 

 

 

 

小さい頃のしらたまとあずきの写真を見返すと

かわいくてたまらないです…♡笑

1歳を過ぎた今でも

ふたりでくっついて寝ています…(*´꒳`*)

 

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