みなさんこんにちは。看護師の鈴木です。
10月の頭はまだまだ夏日で暑い日が続いていた
のですが急に寒くなってきました🍃
急激に気温が下がったせいか、体調を崩して
来院する子がここ数日特に多くなりました。
人と同じように、動物も急激な温度変化や
環境の変化を敏感に感じ取るため
季節の変わり目はいつもより少し気をつけて
体調を見てあげてください😌💭
寒くなってきた頃に忘れがちなのが、
ノミダニ・フィラリア予防です。
特にフィラリア予防は、蚊がいないから大丈夫と
やめてしまう方も少なくはありません。
しかし、寒くなってきた10,11,12月の
フィラリア予防こそ特に重要になってきます。
〜フィラリア予防薬は厳密には、「駆虫薬」〜
普段皆さんに飲んで頂いている薬は、正しくは
「駆虫薬」になります。
つまり、1ヶ月ずっと蚊に刺されない様にバリア
しているのではなく、
蚊に刺されてフィラリアが寄生しているかも
しれないので毎月投薬日にフィラリアを駆虫し、
予防していくという薬です。
そのため、フィラリア予防は蚊が出始めた1ヶ月後
から蚊がいなくなる1ヶ月後までの福岡県では
5月から12月中旬までの8ヶ月間続けていくという
流れになります。
そのため10,11,12月の予防をやめてしまうと、
5月から夏の間頑張って予防をしていても
活動していた蚊に刺されてフィラリアが寄生して
しまう危険性があります。
〜秋こそ蚊の季節〜
蚊=夏のイメージが強いかと思います。
しかし、ここ数年日本の夏は猛暑日が続いており
私たち人間や動物だけでなく
蚊にとっても猛暑日は生きにくい環境なんです。
蚊は気温が10℃を超えると活動し始め、
20℃〜30℃になると爆発的に増え始めます。
蚊は水のある所に卵を産みつけるため、
猛暑日が続き池や水溜りの水が干上がると
産卵場所もなくなったり水温が上昇すると
ボウフラも生きにくくなります。
そのため、少し涼しくなり活動しやすくなった
秋こそ蚊にとっても過ごしやすい季節なんです。
〜1ヶ月に1回駆虫する理由〜
フィラリアという虫は、蚊の体内で成長した
L3という幼虫が、蚊が動物を刺して吸血する際に
体内に入ってきます。
その後、動物の皮下や筋膜下でL4〜L5という
幼虫に成長し血流に乗って成虫まで成長しながら
右心室〜肺動脈に寄生します。
フィラリア予防薬は成虫になる前のL4の幼虫を
駆虫する薬です。
L5以降に成長してしまうと薬が効かなくなって
しまい、右心室〜肺動脈に寄生してしまいます。
L4〜L5へは約50〜60日かけて成長するため、
確実にかつ人間の生活週間で忘れにくい
1ヶ月(30日)おきに駆虫をしていきます。
〜寄生すると、治った後も後遺症が残る〜
フィラリアは犬糸状虫症とも言われる様に、
白い糸状の虫が心臓や肺動脈に寄生し、
循環器障害を起こします。
この虫が心臓や肺動脈に寄生すると思うと、
考えただけでも苦しいですよね…
症状として、元気食欲がない、咳をする、呼吸が
苦しそうなどが挙げられます。
また、症状が進行してくると腹部膨満
(お腹が膨らむ)、血尿をするようになります。
猫は犬と比べてフィラリアの寄生数が少なく、
多くの場合で症状が乏しく、また検査などによる
診断が難しいため発見が困難になります。
犬も猫も治療により、体内からフィラリアがいなく
なったとしてもフィラリアが寄生していたことで
心臓や肺動脈の壁には傷が残り
薬や手術では治すことが出来きず、
障害にわたり後遺症と付き合っていかなければ
なりません。
〜予防薬はしっかり12月まで〜
フィラリア症は、まだ犬を外で飼うのが一般的
だった時代には死因のトップ3に入る程多い病気でした。
今は、室内飼いが多くなってきたり、飼い主様の
予防に対する意識が高くなってきたこともあり
死因の上位には入らなくなりました。
しかし、実際の動物医療現場ではまだまだ
フィラリ症は無くなっていません。
つまり、フィラリアをもった蚊がお住まいの
地域でも生息しているという事です。
1度寄生してしまうと、元の健康な心臓や肺に
戻ることが出来ないからこそ
しっかりと予防をして頂きたいです。
12月までしっかりと予防する事で、
初めてフィラリを予防できていると
言っても過言ではありません。
1年の最後にしっかりとフィラリア予防をして
締めくくりましょう。