うつる皮膚病・うつらない皮膚病

チュールを食べるミニチュアダックスフンドと茶トラの猫

みなさん、こんにちは。看護師の鈴木です。

2022年初投稿のブログとなります。

今年は寅年ということで、茶トラ・キジトラ・サバトラ…の子達は

自慢のトラ柄が大活躍する1年となるのではないでしょうか…🐯笑

今日は、犬猫の皮膚病についてお話しします。

ある保険会社の調べによると、保険請求額が多い傷病ランキングで

皮膚病が犬で1位、猫で2位にランクインしていました。

動物医療現場でも実際に皮膚病を主訴として来院される方は

とても多いです。

なぜ、皮膚病になりやすいの?

では、なぜ犬猫は皮膚病になりやすいのか…

その原因は2つあり、

1つ目は皮膚の薄さが人の1/3〜1/5の薄さしかなく

刺激や乾燥に弱いから

2つ目は皮毛に覆われているため、菌が繁殖しやすいからです。

もともと皮膚病になりやすい犬猫ではうつる皮膚病を

知っておかないと散歩やドッグランで他の子にうつしてしまう

危険があったり、多頭飼育のご家庭ではあっという間に

広がってしまいます。

うつる皮膚病・うつらない皮膚病

代表的な皮膚病として、

膿皮症・マラセチア性皮膚炎・毛包虫(アカラス)・

皮膚糸状菌(真菌)症・ノミ・疥癬があります。

このうち、

皮膚糸状菌症(真菌)・ノミ・疥癬はうつる皮膚病

膿皮症・マラセチア性皮膚炎・毛包虫(アカラス)は

うつらない皮膚病です。

代表的な皮膚病

なぜうつる?なぜうつらない?

ではなぜうつったり、うつらなかったりするのでしょうか。

それは各皮膚病になる原因が関係しています。

〈うつらない皮膚病〉

◇膿皮症 原因:細菌感染(主に常在菌であるブドウ球菌など)

◇マラセチア性皮膚炎 原因:常在菌である真菌の一種のマラセチアの増殖

◇毛包虫症 原因:常在しているニキビダニ(アカラス)の増殖

ここでキーワードとなるのが「常在菌」という言葉です。

常在菌とは、多くの動物に共通してみられ、病原性

(感染症を起こす性質・能力)を示さないもののことです。

常在菌は健康な体にも存在します。

そのため、環境の変化やその子の体質などによって常在菌が

増えることで皮膚病が起こるため他の子にはうつりません。

〈うつる皮膚病〉

◇皮膚糸状菌(真菌)症 原因:糸状菌という真菌(カビ)に感染

◇ノミ 原因: 動物にとって最も一般的な外部寄生虫であるノミの寄生

◇疥癬 原因:犬ではイヌセンコウヒゼンダニ、猫ではネコショウセンコウヒゼンダニというダニの寄生

真菌、ノミ、イヌセンコウヒゼンダニ、

ネコショウセンコウヒゼンダニはもともと犬猫の皮膚には

存在しません。そのためうつしあいます。

皮膚糸状菌症はめっちゃうつる!

中でも、とくに気をつけてほしいのが皮膚糸状菌(真菌)症です。

皮膚糸状菌(真菌)症は皮膚の赤みやフケ、激しい痒み、

また特徴的である円形の脱毛がみられます。

皮膚糸状菌症の猫の足

一般的に、免疫力が弱い子犬・子猫・高齢の犬猫や環境の変化や

ストレスなどで免疫力が低下している子がなりやすい皮膚病です。

真菌は胞子のかたちで空気中や土壌に存在するため、非常に軽く

風に乗ってどこへでも飛んでいきます。そのため、空気中を舞った

りすぐに私たちの衣服などに付着し容易にうつしてしまいます。

また、真菌は人獣共通感染症です。つまり、人にもうつります。

人の感染部位のほとんどは動物に触れる腕や首です。

人での水虫といわれる皮膚病は真菌が原因で発症します。

人の水虫から犬猫へうつった…というケースもあります。

犬猫から同居の犬猫へ、犬猫から人へ、人から犬猫へ…

これが真菌の怖いところです。

皮膚糸状菌(真菌)になったら…

感染した犬猫を触った後は必ず手洗い・消毒をしてください。

真菌は動物のフケや毛に感染することで生きています。

そのため物理的に感染できるものを排除することが一番効果的です。

感染した動物が使っていた毛布やベットは捨てられる物は捨て、

捨てられないものは粘着クリーナーでフケや毛を排除したあと

アルコールや0.5%の次亜塩素酸ナトリウム(ハイター)で消毒し

洗濯を行いましょう。

床などは掃除機がけを行うのも良いですが、掃除機の先端の

ローラーの毛の部分や紙パック・ゴミがたまる部分は捨てる、

もしくは消毒・洗浄を行いましょう。

特に多頭飼育しているご家庭や小さいお子さんや

乳幼児がいるご家庭では徹底した掃除・消毒を行いましょう。

最後に

基本的に、うつる皮膚病でもきちんと治療をしてあげれば治ります。

犬猫は皮毛に覆われているため、皮膚病変があっても

分かりづらかったり見えているよりも広がっていることもあります。

日々のスキンシップやブラッシングをしていて思い出した時にでも

皮膚の状態を確認してみてあげてください。

また、この時期は寒さや暖房器具によって犬猫の皮膚も

乾燥しやすいため保湿剤をつかってあげたり、保湿力の高い

シャンプーを使ってあげるのも良いかと思います。

1月は臨時休診や診療時間の変更があるためご確認の上ご来院ください。

臨時休診・診療時間変更について詳しくは

↓お知らせをご覧ください↓

〜1月の診療時間のお知らせ

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