「お知らせ」と「下痢」のお話

みなさん、こんにちは。院長の諏訪です。
もう3月ですね。
だいぶ暖かい日が増えてきました。
電熱ベストの出番も減っています。
少し気分も上向きますね!

まずは重要なお知らせです↓

【重要なお知らせ】

さて、本日の「お知らせ」にも掲載しておりますが、
当院は2022年4月より診療時間の一部を変更させていただきます。
その詳細については「お知らせ」のほうに掲載しております。
皆様には多大なご迷惑、ご不便をおかけすることとなりますが、
ご確認、そしてご理解のほど、何卒よろしくお願いいたします。


今日は「下痢」についての論文報告がありましたので、
その内容を元に、下痢について少し話してみたいと思います。
糞便の写真も出てきますので、
抵抗のある方はここでやめてください。

下痢には2種類ある

一般的に犬や猫で発生する下痢には
「大腸性下痢」と「小腸性下痢」の2種類があります。
分け方によっては「急性」と「慢性」に分ける場合もあります。
どんな下痢でもいいものはないのですが、
通常は「大腸性下痢」のほうが「小腸性下痢」よりは
比較的治療がしやすいイメージがあります。
今日は大腸性の下痢について話していきます。

大腸性下痢の特徴は??

どんな疾患でもすべてがあてはまるわけではありませんが、
大腸性下痢の特徴としては
・少量ずつ
・何度も
・ポタポタ、水下痢
・ゼリー状の粘膜が付着
・赤い血がつく
・しぶりがある
などが挙げられます。

よく飼い主様から聞くのが、
「水下痢で何回も何回も下痢をして、赤い血がつく」
といった症状です。

急性大腸性下痢の原因は?

急性大腸性下痢の原因として
・鞭虫などの寄生虫感染
・痙攣性大腸炎(過敏性大腸炎など)
・細菌性大腸炎
に簡単に分けることができます。
慢性になるともう少し鑑別診断が増えます。
よくあるのは、
・拾い食いをした
・食事やおやつを変えた
・ストレスがかかった
などが挙げられます。

糞便採点表

今回の論文は日本にもある「PURINA」の会社が
研究をされた内容になります。
このようなペットフードの会社がしっかり臨床研究して
論文として報告しているのをみると、
その会社のフードの信頼性が上がります。
素晴らしい会社だと思います。

この論文中に面白い採点表があります。
「糞便採点表」とされたこの表では、
下痢のレベルをスコア化して、そのひどさや
治療反応をみています。
愛犬が下痢の際の、一つの指標となるのではないでしょうか?

論文の内容

大腸性下痢の犬には食物繊維を増量したフードが
有効であることが知られています。
今回は急性大腸炎の犬に水溶性食物繊維と
不溶性食物繊維を多く含む食事を与えることが、
一般的な食物繊維を含む食事を与えることより
どれくらい優れているかを研究しています。

動物保護施設にいる急性大腸菌性下痢の犬52頭を対象としています。
糞便スコアが4、5、6、7で急性大腸炎の徴候がある犬に
高繊維食または標準食を与え、糞便スコアを比較しました。

結果は高繊維食を与えたすべての犬(11/11、100%)は、検査日または9日目の
糞便スコアが5未満であり、標準食を与えた犬(6/11、55%、95% CI:23-83)と
比較して統計学的に差がありました。
糞便スコア>4の便の割合は、高繊維食を与えた犬に比べ、
標準食を与えた犬(29/48匹、60%)で大きかったとの結果も出ました。
これらの結果から、急性大腸性下痢症の犬に高繊維食は有効であるといえました。

以前から高繊維食は有効であることは知られています。
この論文はPURINAの高繊維食も同じ様に有効であったことを報告しています。
「高繊維食」と「しっかり臨床研究した高繊維食」は
大きな違いだと僕は思っています。

僕のイチオシのチョコレートですが、
冬季限定です。
残念ながら、今年ももう食べ納めとなりそうです。

原文はコチラ→
Efficacy of feeding a diet containing a high concentration of mixed fiber sources for management of acute large bowel diarrhea in dogs in shelters

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