みなさんこんにちは、看護師の鈴木です。
前回のブログでは冬に多い病気についてお話ししました。
今回は、前回の話の中にもあった『尿石症』について
詳しくお話しします。
尿石症は冬に多い病気の中でも特にこの時期に多い
病気です。
ー尿石症とはー
尿石症は尿路のどこに結石が存在するかによって
「腎臓(腎盂)結石」「尿管結石」「膀胱結石」
「尿道結石」などと言われます。
ー結石の種類ー
結石の種類としては、
・ストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)結石
・シュウ酸カルシウム結石などが多く検出されます。
時に、2種類以上の成分からなる複合結石が
見られることもあります。
尿石症では、結石の種類はとても重要で
ストルバイト(リン酸アンモニウムマグネシウム)結石
の場合、尿石用の療法食を食べることで
石を溶かすことができます。
しかし、シュウ酸カルシウム結石の場合、
食事で石を溶かすことはできず
石の大きさによっては外科的に取り除くことしか
できません。
↓ストルバイト結石↓
尿のpHがアルカリ性に傾くことで結晶化が進む。
↓シュウ酸カルシウム結石↓
尿中のpHが酸性に傾くことで結晶化が進む。
ー結石ができる原因ー
結石の形成原因は結石の種類によって異なっていて
食事の影響や、飲水量の減少、細菌感染、遺伝的体質、
肥満などがあります。
細菌感染に関しては、膀胱炎などで細菌感染を
起こしていた場合、細菌感染により膀胱内のpHが
傾くことで結石ができやすくなります。
その為、膀胱炎の症状(頻尿・血尿など)がある場合は
尿結石を作らない為にも
きちんと治療することが大切になります。
また、冬に尿石症が多くなるのはこの
「飲水量の減少」「肥満」が関わっているからです。
冬は気温も下がり活動量も減ることで
飲水量も減少します。
また、活動量が減ることで体重が増えやすくなり
冬に多く発症するのです。
ーカルシウム、シュウ酸が多く含まれる食事ー
上記の結石の種類でお話ししたように、
結石ができる原因には食事も関わっており
シュウ酸カルシウム結石は療法食で溶かすことができず
場合によっては外科手術により摘出しなければいけません。
シュウ酸カルシウム結石ができる原因は様々ですが
「シュウ酸」や「カルシウム」を多く含んだ食事を
長期間食べていると
シュウ酸カルシウム結石が出来やすくなります。
ブロッコリーやほうれん草などは、
トッピングとしてあげているご家庭も多いかと思います。
上記の食品は「あげてはいけない」ものではなく
「あげすぎるとシュウ酸カルシウム結石の原因となるもの」なので
あげる回数や量などを調節してあげてください。
また、今までにシュウ酸カルシウム結石ができたこと
のある子に関しては避けたほうが良いでしょう。
ー尿石症の予防ー
・飲水量の管理
→いつでも新鮮な水が飲めるように複数個水を置いておく。
→ウェットフードをあげたり、ドライフードに水を加えるなどして飲水量を増やす。
・食事管理
→上記のようなカルシウムやシュウ酸が多く含まれた食品をあげすぎない。
→今までに結石が出来たことがある場合は、結石用のフードで管理をする。
・体重管理
→体重が増加・肥満にならないように低カロリーなフードやダイエット食などで管理をする。
・長時間、おしっこを我慢させない
→いつでもトイレができる様に、トイレを複数個置く。
→冬場は寒い廊下や窓際にトイレを置かない。
→トイレをしやすい様にトイレはいつでも清潔に保っておく。
ー最後にー
尿石症は、女の子の場合尿道が広く短いため、
物理的に尿と共に結石が外に出てくれますが
男の子の場合尿道が狭く長いため、物理的に
尿とともに外に出にくく
尿道などに詰まってしまう危険があります。
尿道に結石が詰まりおしっこが出なくなってしまうと
腎臓に負担がかかってしまい
命に関わることもあります。
・何度もトイレに行くが尿が出ていない
・まる1日尿が出ていない
・尿が出ておらず、元気がなく嘔吐している
などの症状がある場合はすぐに動物病院へ行きましょう。