犬の免疫介在性疾患の再発のタイミング

みなさま、こんにちは。院長の諏訪です。
2月中旬になりました。
1月はどこへ行ったのでしょう?
というくらい、早く過ぎ去ってしまいました。
2月、3月は学会参加があり、休診日が増えます。
ご理解・ご確認のほど、よろしくお願いいたします。

こちらは僕が普段使っているパソコンのキーボードです。

意外とシフトキー使ってるんだな。。
ではなく、汚れています。
こういう時は激落くんの出番です。
ビフォーアフターのアフターはブログの最後です!

暖かい冬で考えること

去年から今年にかけて、とても暖かい冬ですね。
12月に蚊を見かけたと思ったら、先日、院内で蚊を見つけました。
夏に見る蚊より大きい蚊でした。蚊なのでしょうか?

こうなってくると、困るのはフィラリア予防です。
福岡では現在5月-12月までの8ヶ月間の
フィラリア予防が推奨されています。
このフィラリア予防は
当院のブログでも何度も書かれていますが、
「予防」といっても「駆虫」がメインとなります。
つまり、蚊が愛犬を刺し、そこから犬の体内に入って成長する、
そのフィラリア虫体を
フィラリア薬を服用することで駆虫する仕組みです。
服用する前、1ヶ月に寄生したであろうフィラリアを駆虫するのです。
だから、蚊がいなくなるとされる11月に寄生したフィラリアを
12月に最後フィラリア薬を服用することで終了となっています。

ですがこの暖冬で、蚊がいることを考えると、
12月でフィラリア予防をやめていいのか、疑問です。
やはり、生活環境、お散歩コースに蚊が見られる場合は、
1-4月でもフィラリア予防をしておいた方が無難なのではないか
と、僕は思っています。
もしくはフィラリア予防注射で1年間予防することも
一つの選択肢となります。
ただし、フィラリア予防注射はノミやマダニには効果がないですので、
ノミやマダニ予防は別に行う必要があります。

本日の論文

2024年2月に投稿された
「犬のIMHA、ITP、IMPAの再発のタイミングの比較」
といったものです。
ちなみに
IMHA:免疫介在性溶血性貧血
ITP:免疫介在性血小板減少症
IMPA:免疫介在性多発性関節炎
をさします。
どれも免疫介在性疾患と考えられ、
治療には長期のステロイドや免疫抑制剤を必要とすることが多いです。
さらにどの疾患も再発することが知られています。
今回はこれらの疾患の再発のタイミングについて
まとめられた論文になります。
*あくまでも一つの報告であり、この報告だけを鵜呑みにせず、
過去の報告などと照らし合わせて考える必要があります。

内容

対象となったのは
IMHA:73頭
ITP:55頭
IMPA:32頭
の合計160頭でした。
診断後12ヶ月での再発率はそれぞれ、
IMHA:11%
ITP:11%
IMPA:35%
であり、24ヶ月での再発率は
IMHA:18%
ITP:23%
IMPA:41%
でした。
診断後にワクチン接種をした症例としていない症例で、
再発率に差はありませんでした。

感想

かなりの症例数の報告で非常に勉強になりました。
この数字だけをみると、
意外と再発率が低いなと感じました。
ちなみに過去の報告では
IMHA:11-24%
ITP:41%
といった報告もあり、個人的にはこちらの方が
近い印象を受けました。
今回は書きませんでしたが、論文中にある
「再発」の定義の解釈も注意する必要があるとは思いました。

今回の報告で興味深い内容として、
診断後のワクチン接種が再発と関連していなかった
といったことです。
今後の報告に期待ですね。

免疫介在性疾患はとても大変な疾患です。
ひどい場合は亡くなることもあります。
さらに治療は長期にわたり、その中で再発をしたりします。
注意深い観察と早めの対応が大切です。

ちなみに非常に汚れていた僕のキーボードですが、
激落くん(メラニンスポンジ)を使って
ちょっと磨くと
こんな綺麗になりました。
他のもっと古いキーボードでも同じように綺麗になりました!
上がビフォーで、下がアフターです。
再現性があるというのは効果を立証するのに大事ですね!

原文はこちら→
Comparison of timing of relapse in dogs with nonassociative immune-mediated hemolytic anemia, thrombocytopenia, or polyarthritis

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