みなさま、こんにちは。院長の諏訪です。
朝晩もだいぶ暖かくなり、春の訪れを感じます。
小さい頃、春は別れと出会いのシーズンで、
ワクワクしたり寂しかったり、少し特別な時期でしたが、
近頃はそういうこともあまり感じなくなりました。
寂しいような、何とも言葉にならない感覚です笑。
我々の仕事は常にステップアップして行く必要があると
いつも思っているのですが、
ステップアップといっても
長く時間をかけて結果が出るもの、
比較的早期に結果が出るものと様々です。
忘れてはいけないのは成長し続ける意志だと思っています。
本日の論文
今日は2023年2月にJournal of veterinary emergency and critical careに掲載された
「Retrospective evaluation of fresh platelet concentrate administration in dogs:
Patient characteristics, outcomes, and transfusion practices in 189 transfusion episodes (2008–2019)」
についての内容です。
これは犬に濃厚血小板輸血を行った際の有害事象や検査結果などをまとめた報告です。
輸血の種類
輸血の血液製剤はいくつかの種類があります。
・新鮮全血
・保存全血
・赤血球製剤
・血小板製剤
・新鮮凍結血漿(FFP)
・凍結血漿(FP)
などです。
人の医療では全血や成分献血をして
その後、各血液製剤に分けられます。
残念ながら獣医療ではまだ成分輸血を実施できる施設は
非常に限られており、一般的にはどのような場合であっても
全血輸血をすることがほとんどです。
今回の論文はこのような獣医療の中、
血小板製剤を輸血した場合の患者の情報などを記載した
貴重な報告となります。
目的
犬の濃厚血小板輸血における、症例の特徴、基礎疾患、
臨床転帰、輸血量や種類、血小板数の変化、有害事象を
評価することを目的としています。
対象となったのは149頭の犬に対して行った、
189回の濃厚血小板輸血です。
結果
対象となった症例の基礎疾患の内訳として、
・原発性免疫介在性血小板減少症(39/149頭)
・骨髄における血小板産生低下(22/149頭)
・大量輸血時に濃厚血小板輸血を実施(12/149頭)
・先天性血小板機能障害(3/149頭)
・その他の原因で血小板減少症(59/149頭)
・その他の原因で輸血(14/149頭)
でした。
濃厚血小板輸血の投与量の中央値として10kgあたり0.8単位でした。
予防的に行われた症例が15.7%、
治療的に行わられた症例が83.6%でした。
189件中99件で輸血前後24時間での血小板数の比較が可能であり、
血小板数の変化の中央値は5000/μLでした。
168件中2件で輸血反応が疑われました。
まとめ
このような基礎的な報告は、臨床現場でとても参考になります。
実際にどれだけ投与すれば良いか、
それでどれだけ検査値は変わるのかといった内容は
なかなか一つの病院だけでは判断ができません。
これからもっとこういった報告が出てくることが期待されます。
原文はコチラ
先日、折り紙でエリマキトカゲを作りました。
なんだか手が器用になる気がしました。