犬猫の尿検査

みなさんこんにちは、看護師の廣畑です。

だいぶ涼しくなってきて、散歩にも行きやすく

なってきたのではないでしょうか?

今回は、犬猫の尿検査のことをお話ししたいと思います。

犬猫は、膀胱炎や尿石症、腎臓病など泌尿器系の病気が多いです。

尿は、血液から腎臓でつくられ、尿管を通り、膀胱に貯留され

尿道を通り排出されます。

その為、尿検査は泌尿器系の病気だけではなく、

全身の病気の発見に役立つことがあります。

犬猫の一般的な尿検査でどのようなことが分かるのかを

話していきたいと思います。

一般的な尿検査の項目 

一般的な尿検査では、上記のような項目を検査します。

1.pH 

犬猫は通常の場合、尿は弱酸性〜中性です。

このpHがアルカリ性に傾くと、犬猫に多い尿石症の

ストルバイトとよばれる結石ができやすくなります。

 

2.タンパク質

尿中のタンパク質を検査します。

尿は腎臓の糸球体というところでろ過されますが

通常、尿中のタンパク質は糸球体でろ過されない為、

体から排泄された尿にはタンパク質がでることはありません。

ですが、腎臓病や膀胱炎などになると、尿中にタンパク質が出現します。

また、ストレスなどで一過性に出現する場合もあります。

 

3.ブドウ糖

血液中のブドウ糖は腎臓の糸球体でろ過され、

尿細管というところで吸収される為、通常は尿中には出てきません。

ですが、血液中に通常よりもブドウ糖が多くある場合は

尿中にブドウ糖が出現します

 

4.潜血

肉眼で見て、普通の色に見える尿でも

微量な赤血球やヘモグロビンが含まれていることがあります。

 

5.ケトン体

ケトン体は、脂肪の代謝の過程で生成されるもので、

通常は尿中には出現しません。

肝臓からのケトン体の供給が過剰になることで、

尿中にケトン体が出現します。

 

6.尿比重

尿比重は尿の濃さを表すものです。

腎臓で尿は濃縮されますが、腎臓病などで腎臓の機能が落ちると、

尿が濃縮できず、薄い尿になる為、比重が下がります。

尿比重の正常値は、

【犬】 >1.030

【猫】 >1.035 

です。

 

7.色調、混濁

尿の色調と混濁具合をみます。

犬猫の通常な尿は薄黄色で透明です。

細菌や結晶、赤血球などを含む場合は

赤色っぽい尿や濁ることがあります。

 

9.尿沈渣

肉眼で見ることが出来ないような、結晶や細菌、

細胞などを検査します。

上の写真は、ストルバイトと呼ばれる結石の結晶です。

このように、上記の項目を検査します。

 

次に、検査する為の尿の採尿方法についてお話しします。

尿検査の尿は、病院で採尿する場合は、カテーテル採尿か

膀胱に針をさして採尿します。

病院ではなく、ご自宅で飼い主さんが採尿することもあります。

ご自宅で採尿する際の注意点を話したいと思います。

お家での採尿方法と注意点

尿検査が必要な時、お家で尿を取っていただくことがありますが

「どう採尿したらいいのか?」「なかなか上手く取れない、、」

と困る飼い主さんも少なくありません。

特に猫は神経質なところもある為、

上手く取れないことも多々あると思います。

比較的、簡単に採尿する方法として、

専用の採尿グッズを使う方法があります。

写真は、先がスポンジになっていて、尿を吸うことができるものです。

先端のスポンジに尿を吸わせたら、そのまま袋に入れて

病院に持ってきていただきます。

また、システムトイレを使用している場合、ペットシーツをひかずに

下に溜まった尿を採尿したり、ペットシーツを裏返してひいて

溜まった尿を採尿する方法もあります。

この方法だと、トイレの砂の汚れなどが混ざりやすく

検査に影響することがあるので、あまりオススメはしません。

 

次に採尿した尿を持ってきていただく際の注意点です。

①尿検査に使う尿は、液体で持ってきてください。

ペットシーツに吸われている尿は、尿検査で使用ができません。

②ご自宅で採尿した尿は、出来るだけ早く病院に

持っていくようにしてください。

目安としては、採尿して1〜2時間位までに持っていくといいと思います。

③採尿した尿をすぐに持っていけない時は、

冷蔵庫に保管するようにしましょう。

常温で保存すると、検査の結果に影響が出る場合があります。

最後に

犬猫に多い腎臓病は、血液検査だけではなく

尿検査でも異常を見つけることが出来ます。

その為、健康診断などで、血液検査だけでなく

尿検査もしてみることをオススメします。

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