犬の皮膚組織球腫って何?|犬の皮膚にできる腫瘍について解説

走っているポメラニアン

犬の皮膚組織球腫って何?|犬の皮膚にできる腫瘍について解説

皮膚にできものができたことのある犬は、多いのではないでしょうか。
できものがあるのを見つけると「何か悪い腫瘍なのではないか」「犬が痛がっているんじゃないか」ととても心配ですよね。
犬の皮膚のできものには、いろいろな種類のものがあります。
虫刺されのように炎症が原因で薬で良くなることもあれば、悪性腫瘍ですぐに切除した方が良いものもあります。

今回はその中でも、皮膚組織球腫と呼ばれる犬の皮膚にできる腫瘍について解説いたします。
皮膚組織球腫は非常に特徴的で、よく動物病院で相談される腫瘍のひとつです。
犬の皮膚組織球腫について詳しくなって、愛犬の健康管理に役立てましょう。

走っているポメラニアン

皮膚組織球腫って何?

皮膚組織球腫とは、皮膚にできる良性腫瘍のひとつです。
皮膚を構成する細胞のうち、組織球という免疫に関わる細胞が腫瘍化することで発生します。
腫瘍というものは、ある一種の細胞が増殖するときにエラーを起こし、無制限に増殖するようになって発生しますが、皮膚組織球腫の場合は、この細胞が増殖した状態ということですね。
腫瘍が発生する原因は未だはっきりしていません。良性腫瘍なので、通常他の部位に転移したり、ものすごく大きくなったりすることはありません。

皮膚組織球腫の特徴

一般的な腫瘍は高齢で発生することの多いイメージですが、皮膚組織球腫は他の腫瘍と異なり3〜4歳程度の若齢での発生が多いという特徴があります。
まだ若齢なのに腫瘍ができるととても心配ですよね。
多くの場合、頭部や足の先に鮮やかな赤色の腫瘍ができます。
形はドーム状で、綺麗な円形のことが多いです。表面は毛が生えておらず、赤色なので飼い主様も気が付きやすいです。
ほとんどの場合単発で発生するため、人間の虫刺されのような見た目をしています。
大きくなるスピードは比較的早く、ある程度の大きさまではすぐに大きくなります。
全体の大きさが3cmを超えるほど大きくなることはあまりありません。

黒いフレンチブルドッグ

症状

皮膚組織球腫では、腫瘍自体にかゆみや痛みといった症状はありません。
皮膚組織球腫は頭や足先など、外部刺激を受けやすい部位にできることが多いため、擦れたり自分でかじったりして表面に傷がつくことがあります。
傷ができると炎症や感染を起こし、かゆみや痛みの症状が出ることもあります。

診断

皮膚組織球腫は発症年齢や腫瘍の見た目が特徴的なので、獣医師による視診である程度予測されます。
皮膚組織球腫が疑われる場合は、細胞診で行います。
細胞診とは、注射針を用いて、腫瘍の中の細胞を少し取り出して構成されている細胞を顕微鏡で確認する検査のことですね。
細胞診で、増殖した組織球を確認できたら、皮膚組織球腫の診断となります。
外科手術で摘出した場合には、病理組織検査といって組織を細かくスライスして顕微鏡でより正確な診断をすることもあります。

治療

皮膚組織球腫の特徴の一つは、通常自然退縮するということです。
完全に無くなるのには半年程度かかることが多いですが、ほとんどの場合3〜4ヶ月で退縮し始めます。
そのため、多くの場合治療はせず、退縮するのを待ちます。
しかし、発生場所によっては自然に退縮する前に犬が気にして傷がついてしまうことがあります。
傷がついてしまうと、その傷から細菌が入り、二次感染を起こしてしまうことがあります。
その場合は、抗菌薬を使用したり、毛刈りやエリザベスカラーで舐められないようにすることで清潔に保つ工夫をすることが重要です。
それでも感染を抑えることが難しい場合は、ご家族と相談し、外科手術で摘出することもあります。

伏せをする柴犬

予後

腫瘍はほとんどの場合自然に退縮するため予後は良好です。
ごく稀に再発することがあるので注意深く見守ってあげましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は犬の皮膚組織球腫について解説いたしました。
皮膚組織球腫は

  • 若齢で好発する
  • 赤く表面が無毛
  • 足や頭部に単発で発生する
  • 自然に退縮する

といった、他の腫瘍とは少し異なる特徴的な腫瘍です。
若齢で見られることの多い腫瘍なので、飼い主様は非常に心配してご相談いただくことが多いです。
皮膚組織球腫の診断がされた場合は、良性腫瘍で自然退縮することが多いので、きちんと経過観察を行えば心配はいりません。

当院では腫瘍の診断・治療に力を入れているため、愛犬に心配な出来物ができた場合は、なるべく早くご相談ください。

福岡県春日市の動物病院
すわ動物病院

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