みなさんこんにちは。
本日、2月15日と16日は学会参加のため臨時休診となっております。
みなさまには、ご迷惑をおかけいたします。
いつもご理解のほどありがとうございます。
東京で行われる日本獣医内科学アカデミーにて口頭発表をしてきます。
また先日、小動物腫瘍科専門誌である「VETERINARY ONCOLOGY」の45巻にて
執筆のお仕事をさせていただきました!
今回の雑誌のテーマが「血液腫瘍」であり、
日本のレジェンドの先生方がさまざまな血液腫瘍に関して執筆されています。
あまり血液腫瘍がテーマとなった本はないので、非常に勉強になりましたし、
貴重な内容だと感じました。
このような雑誌に、一緒に書かせていただいてとても光栄です。
日々の診療をしながら文章を書くのはとても大変ですが、すごく勉強になります。
今後も機会があればがんばりたいと思います。
さて、今回は猫のリンパ腫についてご説明します。
はじめに
リンパ腫は、猫における最も一般的な悪性腫瘍の一つであり、
特に高齢猫や免疫力が低下している猫で頻繁に見られます。
また、猫白血病ウイルス(FeLV)や猫免疫不全ウイルス(FIV)の感染が
リンパ腫の発生リスクを高めることが知られています。
リンパ腫とは
リンパ腫は、リンパ球という免疫細胞が異常に増殖することによって生じる悪性腫瘍です。
リンパ腫はその発生部位によって以下のように分類されます。
- 消化管型リンパ腫:猫で最も多く見られるタイプで、胃や腸に発生します。
- 多中心型リンパ腫:全身のリンパ節に腫瘍が発生します。
- 縦隔型リンパ腫:胸腔内のリンパ節や胸腺に発生します。
- 鼻腔型リンパ腫:鼻腔内に発生します。
- その他:他にも身体の様々な部位でリンパ腫は発生します。
症状
リンパ腫の症状は、発生部位や進行度によって異なります。
主な症状は以下の通りです。
- 消化管型リンパ腫:嘔吐や下痢、体重減少、食欲不振
- 多中心型リンパ腫:首や脇、後脚の付け根などのリンパ節の腫れ、元気消失
- 縦隔型リンパ腫:呼吸困難、胸腔内に液体がたまる(胸水)
- 鼻腔型リンパ腫:鼻づまり、鼻血、慢性的なくしゃみ
診断のための検査
リンパ腫を確定診断するためには
いくつかの検査が必要です。
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身体検査と触診 リンパ節の腫れやその他の異常を確認します。
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血液検査 全身状態を評価し、貧血や感染症などの合併症を確認します。
また、FeLVやFIVのウイルス検査も行います。 -
画像診断 X線や超音波検査で腫瘍の広がりや転移を評価します。
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細胞診検査 腫大したリンパ節や腫瘍から細胞を採取し、顕微鏡で観察します。
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病理組織検査 腫瘍の一部を切除し、詳細な組織診断を行います。
治療法
リンパ腫の治療は、腫瘍のタイプや進行度、全身状態によって異なります。
以下は主な治療法です。
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化学療法 リンパ腫治療の中心的な方法です。
複数の抗がん剤を組み合わせて使用し、腫瘍の進行を抑えます。 -
放射線治療 特定の部位に限られたリンパ腫(鼻腔型など)に対して
用いられることがあります。 -
支持療法 食欲不振や嘔吐などを軽減できるよう、
抗炎症薬や抗嘔吐薬を使用し出てくる症状を管理します。 -
外科的治療 一部の消化管型リンパ腫や局所的な腫瘍に対して、
手術が行われることがあります。
予後と生活の質
リンパ腫の予後は腫瘍のタイプや治療への反応によって大きく異なります。
消化管型リンパ腫の場合、低悪性度であれば治療に良好の反応を示し、
長期の間症状を落ち着かせる事が期待できます。
一方で、縦隔型リンパ腫や高悪性度のリンパ腫は予後が厳しい場合が多いです。
おわりに
猫のリンパ腫は早期発見と適切な治療が重要です。
飼い主の皆さまが日々の観察を心がけ、異変を感じた際には早めに動物病院へご相談ください。
当院では、愛猫の健康を全力でサポートいたします。
お気軽にお問い合わせください。