フィラリア予防の季節です

みなさん、こんにちは。院長の諏訪です。

だんだんと暖かくなってきましたね。春の風が気持ちいい季節になりましたが、暖かくなると気になるのが「蚊」の存在です。

実はもうすでに蚊の姿を見かけたという話も耳にするようになってきました。毎年「フィラリアの予防はいつから始めたらいいですか?」というご質問をたくさんいただくのですが、今年はぜひ早めのスタートを意識していただければと思います。

今日はフィラリア予防について、予防の仕組みや時期のことを中心にお伝えします。


目次

フィラリア症とは

フィラリア(犬糸状虫:Dirofilaria immitis)は、蚊に刺されることで感染する寄生虫です。

蚊の体内で成長した幼虫(ミクロフィラリア)が、蚊が血を吸うときにわんちゃんの体内に入り込みます。体内に入った幼虫は数ヶ月かけて成長し、最終的に心臓や肺動脈に住みつきます。そこで成虫になると、心臓病や呼吸器の病気を引き起こしてしまいます。

ちなみにですが、犬だけでなく猫ちゃんにも感染する可能性があります。猫ちゃんの場合は診断が難しいこともあり、また別の機会にお話しできればと思います。

とても怖い病気ではあるのですが、正しい知識と予防で防ぐことができる病気でもあります。だからこそ、ここでしっかりお伝えしたいなと思っています。


フィラリア症の症状

フィラリア症の怖いところは、初期にはほとんど症状が出ないということです。

元気に過ごしているように見えても、体の中では寄生虫がじわじわと悪さをしている——そういうケースが少なくありません。

病気が進行してくると、以下のような症状が見られるようになります。

  • (特に運動したあと)
  • 元気・食欲の低下
  • 呼吸が荒くなる
  • おなかが膨らんでくる(腹水)
  • 重度の場合は大静脈症候群(ベナケバシンドローム)を起こし、突然ぐったりしたり、赤黒い色の尿(血色素尿)が出ることもあります

症状が出た時点では、すでにかなり病気が進行していることがほとんどです。だからこそ、予防がとても大切だと日々の診察で痛感しています。


予防を始める前に — 血液検査のこと

予防薬を始める際、少量の採血でフィラリアに感染していないかを確認しています。

というのも、もしすでに感染している場合、そのまま予防薬を投与すると体に大きな負担がかかることがあるためです。検査は短時間で結果が出ますので、ご安心ください。

「毎年ちゃんと予防しているから大丈夫」という場合でも、念のため確認しておくと安心です。お薬をあとで吐き出していたり、1回飲ませ忘れていたりと、意外と起こりやすいことなので、年に一度の確認を習慣にしていただければと思います。


フィラリアの予防方法

予防薬の種類

フィラリアの予防薬にはいくつかのタイプがあります。

  • 月1回の経口薬(チュアブルタイプなど):おやつ感覚で食べられるものが多く、飼い主さんにも人気があります
  • スポットオン(滴下型):首の後ろに垂らすタイプです
  • 注射(年1回タイプ):1回の注射で1年間効果が続くタイプです

それぞれの特徴がありますので、その子の性格やライフスタイルに合わせて選んでいただければと思います。迷われた場合は、診察の際にご相談ください。

投与期間 — 早めのスタートがおすすめです

福岡の気候では、一般的に5月〜12月が予防期間の目安とされています。

ただ、今年はすでに蚊の姿を見かけているという話も出てきています。蚊が出始めたら予防スタートのサインと思っていただいて、気候カレンダーの目安より早めに始めることをおすすめしています。「5月になったら」と待たずに、気になった時点でまずご来院ください。

また、終わりの時期も大切です。最後の1回が特に重要で、シーズン終盤に感染した幼虫を駆除するために、涼しくなっても最後の投薬まで続けることがとても大事です。

予防薬の仕組み — 実は「駆虫薬」です

「予防薬」という名前なので、蚊に刺されても感染しないようにするお薬——と思われがちなのですが、実はそうではありません。フィラリアの予防薬は、正確に言うと「駆虫薬」です。

蚊に刺されて体内に入った幼虫が、成虫になる前の段階で駆除するお薬なんです。つまり、感染そのものは防げないけれど、幼虫が心臓にたどり着く前にやっつけてくれる——そういう仕組みです。

だからこそ、毎月決まったタイミングで飲ませることが大切ですし、飲み忘れがあると駆除しきれない幼虫が残ってしまう可能性があります。


もしフィラリアに感染してしまったら

万が一、検査でフィラリアの感染が見つかった場合の治療についてもお話しておきます。

感染がわかった場合、病気のステージによって治療方針が変わります。

  • 軽症の場合:成虫が自然に寿命を迎えるまで安静に過ごしながら、対症療法を行う方法(slow kill法)をとることがあります
  • 中等症〜重症の場合:成虫を駆除する薬を使用しますが、駆除の過程で虫体が血管に詰まるリスクがあり、慎重な判断が求められます
  • 大静脈症候群のような緊急事態:外科的に虫体を摘出する処置が必要になることもあります

正直にお話しすると、フィラリアの治療にはリスクが伴います。だからこそ予防がいちばん大切だと、心からそう思います。

ただ、万が一感染していたとしても、正確な診断で病期をしっかり把握した上で、その子にとっての最善の治療を一緒に考えていきます。どうか不安を抱え込まず、まずはご相談ください。


おわりに

フィラリア症は、きちんと予防すれば防げる病気です。

今年はもう蚊が出始めているという声も聞こえてきます。「5月になったら」と思わず、早めのスタートを意識してぜひご来院ください。予防シーズンはもうすでに始まっていると思っていただければと思います。

フィラリア予防のことで気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

大切な家族をフィラリアから守るために、今シーズンも一緒に取り組んでいきましょう。

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