みなさんこんにちは。
院長の諏訪です。
2月15日-16日は学会参加で休診とさせていただきました。
ご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。
東京で行われた第21回日本獣医内科学アカデミーに参加してきました。
この学会は日本の獣医大学が主体となって運営されているもので、
毎年非常にレベルの高い講義や症例検討を聞くことができます。
僕も今年も1題発表させていただきました。
また、今年は当院の愛玩動物看護師である鈴木も1題発表しました。
その結果、非常にありがたいことに鈴木の発表が看護アワードを受賞しました。
大学病院や大きな病院の看護師の方々のとても勉強になる発表がある中で、
アワードに選定されたこと、とても嬉しく思います。
日々の仕事の合間に学び、発表準備をがんばってくれました。
当院は今後も継続した臨床研究を行っていきたいと思います。
さて、今回は犬のリンパ腫についてお話ししたいと思います。
はじめに
犬のリンパ腫は、リンパ組織に発生する悪性腫瘍で
犬の腫瘍性疾患の中でも比較的多い疾患です。
全身のリンパ節、肝臓、脾臓、さらには消化管や皮膚など、
多様な部位に影響を及ぼす可能性があります。
リンパ腫とは
リンパ腫は、リンパ球と呼ばれる白血球の一種が
「異常増殖」することによって発生する悪性腫瘍です。
リンパ球は通常、免疫に関わる重要な役割を果たしてますが
この細胞ががん化することで腫瘍となります。
リンパ腫は、以下のように分類されます。
- 多中心型リンパ腫:全身のリンパ節に腫瘍が発生する最も一般的なタイプ。
- 消化管型リンパ腫:胃や腸に発生するタイプ。
- 縦隔型リンパ腫:胸腔内に発生するタイプ。
- 皮膚型リンパ腫:皮膚に発生するタイプ。
症状
リンパ腫の症状は、腫瘍の発生部位によって異なりますが、
以下のような症状が一般的に見られます。
- リンパ節の腫れ:首や脇の下、後脚の付け根などにあるリンパ節が腫れる。
- 元気消失:活動量の低下や疲れやすさ。
- 食欲不振:食事量の減少や拒否。
- 体重減少:食欲不振と関連して体重が減少。
- 嘔吐や下痢:特に消化管型リンパ腫の場合に見られます。
- 呼吸困難:縦隔型リンパ腫の場合、胸腔内の腫瘍が原因で起こることがあります。
診断のための検査
リンパ腫を診断するためには
以下のような検査が行われます。
-
触診と視診:リンパ節の腫れや異常がないか身体検査を行います。
-
細胞診検査: 腫大したリンパ節から細胞を採取し、顕微鏡で観察します。
リンパ腫の診断の第一歩です。 -
病理組織検査: 腫瘍組織を切除し、詳細な病理学的分析を行います。
腫瘍のタイプや悪性度を評価します。 -
画像診断: X線検査や超音波検査を使用して、腫瘍の広がりや転移を確認します。
-
血液検査: 全身状態や他の臓器への影響を評価します。
-
骨髄検査: 骨髄への腫瘍浸潤を確認するために行われることがあります。
- その他: 遺伝子検査などを行う場合もあります。
治療法
リンパ腫の治療は
腫瘍の種類や進行度・犬の体調によって異なります。
主な治療法を以下に紹介します。
1.化学療法 リンパ腫の治療の中心となる方法です。
抗がん剤の組み合わせを用いて、腫瘍の進行を抑えます。
治療反応が良い場合、寛解(症状が落ち着いている状態)を達成できることがあります。
2.放射線治療 特定の部位に限定されたリンパ腫に対して行われます。
症状の緩和や腫瘍の縮小を目的とします。
3.外科的切除 消化管型リンパ腫など、一部のケースで手術が適応されることがあります。
4.支持療法 痛みや副作用の管理、生活の質を向上させるために行われます。
抗炎症薬や栄養サポートが含まれます。
予後と生活の質
リンパ腫の予後は腫瘍の種類や治療への反応によって異なりますが、
化学療法を受けた子の多くは一定期間の寛解を得ることができます。
治療中は副作用の管理や定期的な診察を行い、
生活の質を維持してあげる事が大切です。
おわりに
リンパ腫は早期発見と適切な治療が鍵となる疾患です。
飼い主の皆さまが日々の観察を心がけ、
愛犬に異変を感じた場合は早めにご相談ください。
ご不明な点がありましたらお気軽にお問い合わせください。