みなさん、こんにちは。院長の諏訪です。
今年の夏は本当に暑いですね。
少し外に出たら汗だくです。
学会ではスーツを着ますが、なかなか大変です。
でもスーツ着ると気持ちが入って、ピシッとなるんですよね。
英語の論文がアクセプトされました
毎年、学会発表や講演、雑誌の執筆など学術的な活動を積極的に行っています。
獣医学の発展のなにか少しでも小さな足しになれればと思っているからです。
それが恩師から教えていただいたことの一つでもあります。
その中でも最も大事なのが論文執筆だと教えられました。
そのため年に1本は論文を書くように努力しています。
そして、今年は英語の論文を書きました。
英語は苦手でいつもすごく苦労しますが、ようやくその論文が公開されました。
1例報告の小さな論文になりますが、
世界のどこかで同じような症例に遭遇した先生や患者さんに
少しでもお役に立てたらと思います。
→Pure red cell aplasia and amegakaryocytic thrombocytopenia in a cat
今年は腫瘍にテーマを置いて、少しずつブログで
情報を更新しています。本日は猫の腺癌のお話です。
はじめに
腺癌（Adenocarcinoma）は、猫に発生する悪性腫瘍の中でも比較的稀ですが、
「消化器系、肺、膵臓、腸などの腺組織に由来」するため、
発見時にはすでに進行していることが多く早期発見が難しく注意が必要です。
腺癌とは
腺癌は、体内の腺組織（分泌機能を持つ細胞）から発生する悪性腫瘍です。
腸や肺、膵臓、肝臓、胃などのさまざまな臓器で発生する可能性があり
発生部位によって症状や治療法も異なります。
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代表的な発生部位
•小腸、大腸（腸管腺癌）
•肺（肺腺癌）
•膵臓（膵臓腺癌）
•胃（胃腺癌）
•肝臓（肝内胆管癌を含む）
症状
腺癌の症状は、腫瘍が発生した部位に依存し異なります。
以下は代表的な症状です。
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腸管腺癌
慢性的な下痢や血便
体重減少
食欲不振
腹部のしこりや不快感 -
肺腺癌
咳、呼吸困難
運動を嫌がる
呼吸数の増加や異常な胸部音 -
膵臓・肝臓の腺癌
嘔吐
黄疸（皮膚や目が黄色くなる）
食欲不振、元気消失 - 胃腺癌
食欲不振
胃の不快感
嘔吐
体重減少
黒色便
診断のための検査
腺癌を診断するためには、以下のような検査が行われます。
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身体検査と問診
⚪︎体重減少、脱水、腹部の異常などをチェック。 -
血液検査・生化学検査
⚪︎全身状態や肝機能、腎機能の評価。 -
画像診断
⚪︎X線検査：肺や腹部の腫瘍や転移の確認。
⚪︎超音波検査：腹腔内の腫瘤や臓器の状態を把握。
⚪︎CTスキャン：腫瘍の正確な位置や広がりを確認。 -
内視鏡検査（消化管の場合）
⚪︎腫瘍の視覚的観察と組織の採取を採取します。 -
細胞診・病理組織検査
⚪︎腫瘍組織を採取し、顕微鏡で詳しく分析して確定診断を行います。
治療法
腺癌の治療は、腫瘍の部位、進行度、転移の有無に応じて異なります。
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外科的切除
腫瘍が限局している場合、外科的に取り除くことが最も効果的です。
消化管や肺の一部切除、肝葉や膵臓の部分切除などが行われます。 -
化学療法
転移がある場合や手術が困難な場合には、抗がん剤による治療が選択されます。
効果は腫瘍の種類や個体差によって異なります。 -
支持療法
栄養管理、抗炎症薬、疼痛管理などで症状を緩和し、生活の質を維持します。
予後
腺癌の予後は、早期発見と治療開始のタイミングに大きく左右されます。
腫瘍が限局しており、完全に切除できた場合には、良好な予後が期待できます。
しかし、診断時にすでに転移がある場合は、予後は厳しい傾向にあります。
おわりに
猫の腺癌は稀ながらも非常に注意が必要な悪性腫瘍です。
日頃からの健康観察と定期的な健康診断により、早期発見・早期治療につなげることが大切です。
気になる症状がある場合は、早めに病院へご相談ください。
