みなさんこんにちは、院長の諏訪です。
先月から、福岡は気温がぐっと上がってきましたね。梅雨入り前後のこの時期は、気温と湿度が一気に高くなるため、実は熱中症のリスクが特に高い季節です。真夏よりも「暑さに慣れていない」分、体への負担が大きいともいわれています。
執筆させていただいた本を献本していただきました。
すごく厚い本で驚きました。
今回はこの中の犬と猫の免疫介在性溶血性貧血について書かせていただきました。
とても勉強しました!!
また、5月24日は休診をいただき東京で行われた、日本獣医輸血研究会と小動物臨床血液研究会の共催学術講習会に参加させていただきました。毎年参加しているこの学会で1日、血液学のことを学んできました。
今回は血小板減少症をメインにみっちり勉強しました。
僕も1時間、講義をお話しさせていただきました。
このような機会をいただいてとても感謝しています。
さて今回は、犬・猫の熱中症について、症状・予防・応急処置まで改めてまとめてみました。毎年の確認として、ぜひ最後まで読んでみてください。
熱中症とは?
熱中症は、高温・多湿な環境に長時間さらされることで体温調節がうまくできなくなり、体内の温度が異常に上昇した状態です。人間と違い、犬・猫は全身から汗をかけません。犬はパンティング(口を開けてハアハアする呼吸)で体を冷やしますが、これだけでは限界があります。猫は比較的暑さに強い面がありますが、やはり注意は必要です。
特に「車の中」「密閉された部屋」「直射日光の当たる屋外」は短時間でも危険です。晴れた日の車内は、外気温25℃でも30分で車内温度が50℃近くになることがあります。
熱中症の症状
【初期症状】こんなサインが出たら要注意!
- 激しいパンティング(ハアハアした呼吸)が続く
- 大量のよだれが出ている
- 歯ぐき・舌・結膜(目の白い部分)が赤く充血している
- 落ち着きがなく、ウロウロしている
- 水をがぶがぶ飲もうとする
【重症化したときの症状】すぐに病院へ!
- ぐったりして立てない・動けない
- 嘔吐・下痢(血が混じることも)
- 全身の震え・けいれん
- 意識がもうろうとしている・呼びかけに反応しない
- 歯ぐきや舌が白っぽい・青紫色になっている
重症化すると多臓器不全に陥ることもあり、命にかかわります。「おかしいな」と感じたら、迷わず病院へ連絡してください。
特に注意が必要な子たち
どの子にとっても熱中症は危険ですが、以下の子は特にリスクが高いため、より一層の注意が必要です。
短頭種(鼻ぺちゃの子)
犬:フレンチブルドッグ、パグ、シーズー、ボストンテリアなど
猫:エキゾチックショートヘア、ペルシャ、スコティッシュフォールドなど
生まれつき気道が狭く、パンティングによる体温調節が苦手です。暑い環境では呼吸が追いつかなくなり、熱中症に直結しやすいので、室内温度の管理は特に徹底してあげてください。
肥満ぎみの子・体格が大きい子
体内に熱がこもりやすく、首まわりの脂肪で呼吸もしづらくなります。熱中症だけでなく健康全般のためにも、体重管理は大切です。
高齢の子・子犬・子猫
体温調節機能が未発達だったり、加齢で低下していたりするため、環境の変化についていきにくいです。認知症の子は水のある場所が分からなくなり、知らない間に脱水していることもあります。
基礎疾患のある子
心臓病・呼吸器疾患・貧血などがある子は、暑さに対する予備力が低い場合があります。持病がある子は特に涼しい環境を保ってあげましょう。
熱中症の予防策
【室内での注意点】
- 室温は26℃以下を目安にエアコンで管理する
- 外出時もエアコンをつけたままにしておく(タイマーは使わない)
- ケージやサークルを直射日光が当たる場所・窓際に置かない
- 新鮮な水をいつでも飲めるようにしておく(複数か所に用意するとベスト)
- 冷たい床(タイル・フローリング)や冷感マットを用意する
【散歩時の注意点】
- 散歩は朝6時前後か夕方18時以降の涼しい時間帯に
- 出発前にアスファルトに手を当てて温度を確認する(熱ければ肉球がやけどします)
- できるだけ芝生・土・日陰の多い道を選ぶ
- 携帯用の水と飲み水入れを持参し、こまめに水分補給
- 気温・湿度が高い日は散歩を短めにするか中止することも選択肢に
- 犬は地面に近い位置を歩くため、人が感じる気温より体感温度がかなり高いことを忘れずに
【絶対にやってはいけないこと】
- 車の中に置き去りにする(窓を少し開けていても危険です)
- 炎天下に長時間つないでおく
- エアコンのない密閉空間に閉じ込める
熱中症になってしまったときの応急処置
「もしかして熱中症かも」と感じたら、まずすぐに涼しい場所へ移動させましょう。その上で以下の手順で対処してください。
- 涼しい場所(エアコンの効いた室内など)に移動する
- 常温の水(冷たすぎない水)を体にかける ― 氷水や保冷剤を直接当てるのはNG!急激な冷却で血管が収縮し、熱が放散されにくくなります
- ぬらしたタオルで体を包み、扇風機や団扇で風を当てる ― 特に冷やすべき部位:首・脇の下・内もも(鼠径部)
- 意識があれば少量ずつ水を飲ませる ― 無理に飲ませると誤嚥の危険があるため注意
- すぐに動物病院へ連絡・搬送する ― 応急処置で一見落ち着いているように見えても、体の内部でダメージが進行していることがあります
⚠️ 「冷えたから大丈夫」と判断しないでください。熱中症は後から多臓器障害が現れることがあります。応急処置後は必ず受診をお願いします。
こんなときはすぐに病院へ!
以下の症状がひとつでもある場合は、応急処置をしながら病院に電話し、できる限り早く来院してください。
- ぐったりしていて立てない
- 嘔吐・下痢が続いている
- けいれんが起きている
- 意識がない・呼びかけに反応しない
- 歯ぐきや舌の色が白・紫色になっている
- 応急処置をしても体温が下がらない
まとめ
熱中症は予防が最大の治療です。「まだ6月だから大丈夫」と思わず、早めの対策を始めてあげてください。特に今年初めて夏を迎える子犬・子猫の飼い主さんは、この季節から慣れておくことが大切です。
何かご不安なことや「うちの子、大丈夫かな?」と思うことがあれば、お気軽にご相談ください。熱中症に限らず、いつもと違うな…と感じたら、できるだけ早めにご来院ください。みなさんと大切なご家族が、今年も元気に夏を乗り越えられますように!
