こんにちは、院長の諏訪です。
2020年もあっという間に3週間が経ちました。
油断していると今年も、「やりたいこと」ができずに終わってしまいます。
一日一日を大切に過ごさないといけません。今年もやりたいことはたくさんあります。
何事も後回しにしないようにしなければなりません。
写真は家にある電子レンジが作動中に突然止まるという症状が増えてきたので、「後回しにせず」分解した時の様子です。
内部のバネ、ローラーの劣化が原因のようでした。応急処置としてバネを少し強くしてみました。
今のところいい感じに動いています。
さて、ある記事を読みました。
「海外の獣医の専門医の先生がおっしゃるには、過去数年の論文は把握し、覚えている。
質問を受けた時にその場でエビデンスに自分の経験を交えて答える。専門医としてそれくらいは普通である」と。
自分の仕事に、立場に自覚を持ち、日々精進されているのだと感じました。
僕も今年は例年以上に論文を読んでいこうと思います。
わんちゃんの食べてはいけないものの一つに「ブドウ・レーズン」があるのはご存知な方も多いのではないでしょうか。
論文雑誌Journal of Veterinary Emergency and Critical Careに2018年、Colin F. Reich先生のグループが
ブドウやレーズンを食べた犬139頭の臨床症状や経過をまとめたものを報告しています。
そもそもブドウやレーズンを食べることで犬は急性腎障害(AKI)を発症するリスクがあることが2000年代に論文として報告されました。
その後、その知識は広く知れ渡りました。
ですが、その時の論文ではどれくらいの犬にAKIのリスクがあるかなどの評価はされていませんでした。
以下、論文の内容です。
ブドウやレーズンを食べて出る症状として最も一般的なものは「嘔吐」です。嘔吐は通常24時間以内にみられます。
腎臓の傷害の指標となる高窒素血症は通常24-48時間以内にみられるそうです。
この論文では6.7%(8頭/120頭)でAKIを認め、嘔吐は13%の症例で認められました。亡くなった子は1頭いました。
注意しないといけない点は、ブドウやレーズンの毒性は「食べた量」に依存するという報告は現在のところなく、
少しの量でも危ない可能性があるということです。
今回の対象となった犬の121頭は病院で入院または通院での治療を受けています。
また今回の論文は海外の論文なので、対象となった犬の平均体重は21.35kgで日本よりも大型犬の割合が多かったり、
以前の報告では132頭中43頭で高窒素血症を認めたといった報告もあったりしますので、結果の解釈は慎重に行う必要があります。
いずれにせよ、ブドウやレーズンを食べてしまった場合は、できるだけ早く動物病院を受診することが勧められます。
個人的に印象に残ったのは、過去の報告に比べ、急性腎障害を発症する割合が比較的少ないことです。
これはおそらく論文中にもありましたが、ブドウやレーズンの中毒について情報が広まったおかげであり、
治療も早期に介入できているからではないかと思いました。
以前の論文のおかげで病気のリスクを下げることができているかもしれないなんて、素晴らしいことですよね。
写真はこの間、患者様からいただいたレーズン入りのチョコレート菓子です。
犬にはチョコレートもレーズンもよくないものになりますが、僕は大好きでした。。
日進月歩の獣医療です。
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