犬のバベシア症とは?│マダニが運ぶ病気に要注意!

ヨークシャーテリアにいるマダニ

犬のバベシア症とは?│マダニが運ぶ病気に要注意!

ヨークシャーテリアにいるマダニ

愛犬のマダニ予防はしていますか?
マダニはさまざまな感染症を運ぶため注意が必要です。
マダニが媒介する病気の1つに「バベシア症」が挙げられます。

今回の記事ではバベシア症について解説していきます。
ぜひ最後までお読みいただき、愛犬の健康にお役立てください。

バベシア症とは

バベシア症とはバベシアという微生物が体内に入ることにより起こる感染症です。
バベシアに感染すると重度の貧血が起こり、最悪の場合は死に至る可能性があります。
犬のバベシア症の原因はBabesia.gibsoniやBabesia.canisという原虫で、非常に小さな寄生虫ですね。
バベシアはマダニを介して運ばれ、犬に感染します。
では実際どのようにしてバベシアは犬に感染するのでしょうか。

バベシアの感染経路

バベシアはマダニが犬を吸血する際に感染します。
マダニの唾液の中にはバベシアが含まれています。
吸血する際に唾液が体内に入ることでバベシアの感染が起こるのですね。
吸血以外の感染経路には、

  • 感染した犬から輸血する
  • 感染した血液の付着した針が刺さる
  • 感染した犬に噛まれる

なども挙げられます。

バベシア症の症状

マダニ

バベシア症の症状は、バベシアが赤血球を破壊することで起こります。
特徴的な症状は

  • 貧血
  • 黄疸
  • 血色素尿

です。

貧血

赤血球がバベシアに壊されることにより貧血が起こります。
貧血は犬の見かけから診断することもできますね。
口や眼の粘膜が白っぽくなると重度の貧血の可能性があり、危険な状態です。
貧血になると体の酸素が足りなくなることで、呼吸が速くなったり、苦しくなったりすることもあります。

黄疸

赤血球が過剰に壊されるとビリルビンという色素が増加し、皮膚や粘膜が黄色っぽくなる黄疸が生じます。
通常であれば肝臓がビリルビンを増やさないように処理するため、ビリルビンは上昇しません。
しかし、赤血球での破壊が過剰に亢進すると、肝臓での処理が追いつかなくなり血中のビリルビンが上昇し、黄疸が起こるのですね。
尿中にもビリルビンが排出されることにより、尿がより濃くなることもあります。

血色素尿

血色素尿は、血液成分であるヘモグロビンが排出されることによる赤い色素が混じった尿です。
体内で大量の赤血球が破壊されることヘモグロビンという色素も生じます。
これが尿に排出されると、尿の色が赤~赤茶色になります。

バベシア症の診断

バベシア症はここまで説明してきたように重篤な症状を示す、血液の感染症です。
大事になる前になるべく早く診断したいですよね。
バベシア症を診断するためには、血液をしっかりと調べることが必要です。

血液検査

バベシアの寄生体は血液を顕微鏡で観察することで検出できます。
しかし、バベシアの寄生体は非常に小さく、見つけられないこともあります。
寄生体を見つけられない場合は抗体検査や遺伝子検査も選択肢の1つですね。
バベシア症を診断するときは、これらの検査を総合的に考えて判断していきます。

問診

血液検査と同様にバベシア症の診断には欠かせないのが飼い主様のお話しですね。
動物病院では

  • バベシア症の症状がないか
  • バベシアを媒介するマダニを予防しているか
  • マダニが出そうな生活環境じゃないか
  • マダニがいる地域に行っていないか

などの問診を飼い主様から取ります。
バベシア症はもともと九州地方や中国地方などの西日本で多い疾患です。
特に山間部のマダニに接触する機会の多い地域で発生数が多い傾向があります。
今では感染した犬やマダニが移動することにより、全国どこでも発生する可能性がありますが、それでも西日本や山間部ではバベシア症が発生しやすい地域です。
私たちが診療をしている福岡県では特にバベシア症が多発しやすいので、慎重にマダニとの接触する機会がなかったかお話を聞かせていただきます。

バベシア症の治療

草むらに入るミニチュアダックスフンド

バベシア症と診断された場合、早期に治療することが重要です。 
症状が長引いて状態が悪化する前に以下のような治療を行います。

抗原虫薬の投与

バベシア症と診断されたら、まずはバベシアに対する薬物治療を行います。
残念ながらバベシアを完全に除去できる治療薬は存在しません。
薬によってバベシアの増殖を抑え、犬の自分の免疫で回復することを期待します。

輸血

多くの場合はバベシアに対する薬による治療を行います。
しかし、薬が効くまでに時間がかかってしまい、重度な貧血から命を落としてしまうこともあります。
その場合は他の犬からの輸血を行うことが考慮されます。
輸血はアレルギーなどのリスクを伴うので、慎重に判断されます。

バベシア症の予防

バベシア症はマダニの対策を適切に行うことで十分に予防が可能です。
バベシア症になってしまってから対処するのではなく、バベシア症にならない対策をしましょう。

マダニを避ける

マダニに接触する機会を減らすことはバベシアの予防に有効です。
マダニは屋外の森林や草むらに潜んでいます。
森林や草むらにはできるだけ犬を入らせないようにしましょう。
バベシアがマダニから犬の体内に移るまでには36〜48時間必要と言われています。
そのためマダニをすぐに取り除けば感染を防げることが多いです。

マダニの駆虫薬を投与する

どんなに山道や草むらを避けていたとしてもマダニのリスクを完全に防げません。
そのため定期的に駆虫薬を投与することがバベシア症の予防には効果的です。
マダニの駆虫薬を定期的に投与する習慣をつけましょう。

  • フィラリアも同時に予防できる薬
  • おやつタイプの飲み薬
  • 背中につけるタイプの薬

などさまざまな薬があるため、どのタイプにするかについては当院にご相談ください。

まとめ

バベシアはマダニのいる地域では感染の可能性があるため、きちんとマダニ予防をすることがとても重要です。
犬と山にキャンプに行くときは必ずマダニ予防をしているか確認しましょう。
バベシアは早期発見、早期治療を行うことでコントロール可能な病気です。

「もしかしてバベシア症では?」

このような心当たりのある方はお早めに当院までご来院ください。

福岡県春日市の動物病院
すわ動物病院

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