IMHAに関するACVIM consensus statement

こんにちは。院長の諏訪です。
まだまだ寒い日が続いています。インフルエンザもまだ落ち着いてはいないとか。
話題のコロナウイルスに対してもそうですが、帰宅時の手洗い、うがい、基本ですね!

開業当初に知り合いの獣医さんからいただいたものに「GoPro」があります。
新しい物好きでして、めちゃくちゃ嬉しかったのですが、
基本、ダイナミックに動くこともない仕事なので、活躍の場をなかなか見出せず、
何か面白いことに使えないかと最近は模索しております。
病院の外観を一日中、撮り続けようとチャレンジしていますが、バッテリーの減少がとても早いです。

さて、減少といえば、体の中の血が少なくなってしまう症状を「貧血」といいます。
犬や猫の貧血には多くの原因がありますが、その中でも有名な貧血に

免疫介在性溶血性貧血(IMHA: Immune-mediated hemolytic anemia)

という病気があります。
体の中の免疫(抗体や補体)が働いてしまい、自分の赤血球を破壊していく、致死率も高い怖い病気です。
(IMHAについてはこちらもご覧ください)

そんな犬や猫のIMHAについて2019年論文雑誌のJournal of Veterinary Internal MedicineにACVIM(米国獣医内科学会)が
consensus statement(合同声明)を出しました。これには診断編と治療編の2報があります。

診断編ではこれまでのIMHAの報告を調査し、それをまとめ、非常にわかりやすくIMHAの病態や診断の流れについて書かれています。
IMHAの診断として、
①貧血があること
②免疫学的破壊の証拠
③溶血の証拠
に関して詳しく検査内容や解釈などが書かれています。
個体ごとに差はあり、思ったような結果が出ないことも多々ありますが、基本となる考え方がとても整理できました。
用語の整理としてprimaryとsecondaryといった原発性、続発性といった用語を今後、
associativeとnon-associativeとする提案などもあり、まだまだこの先色々変わっていきそうです。

また治療編でも同様に犬のIMHAの治療について
・血液型やクロスマッチテストについて
・輸血の適応について
・ステロイドの使用法、その減らし方
・免疫抑制剤について
・抗血栓療法について
・再発に対するアプローチ
などに関して、とても詳細に書かれており、かなり勉強になりました。
特に抗血栓療法については2018年に別の雑誌でCURATIVEガイドラインが出されたこともあり、
抗血栓療法をいつまで続けるか、また新しい抗血栓療法などについても、かなり整理されていたように感じます。
また、他にもいつまでステロイドの投与を続けるのか、免疫抑制剤の投与を続けるのかなどや、
診断前のステロイド投与の問題点など、かなり充実した内容でした。

日進月歩の獣医療です。日々勉強し、みなさまのお役に少しでも立てればと思います。

【原文はこちら】
ACVIM consensus statement on the diagnosis of immune-mediated hemolytic anemia in dogs and cats.
ACVIM consensus statement on the treatment of immune-mediated hemolytic anemia in dogs.

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