猫の新鮮凍結血漿輸血のお話

Journal of Feline Medicine and Surgery

みなさん、こんにちは。院長の諏訪です。
9月7日は急遽、臨時休診とさせていただき、ご迷惑をおかけいたしました。
ご理解、ご協力のほどありがとうございました。

9月に入って台風が来たり、まだまだすごく暑かったり、以前の気候と今の気候はかなり違いますね。
昔のイメージでいると、熱中症などにすぐなってしまいそうです。
現代に起こっていることをしっかりとみて、考えて、自分の認識をアップデートすることがとても大事ですね。

本日は新鮮凍結血漿輸血のお話。
動物の輸血には全血輸血(血をそのまま全ていれる)、赤血球輸血、血小板輸血、新鮮凍結血漿(FFP)輸血などがあります。
輸血のやり方の違い
一次診療の病院では全血輸血を行うことがほとんどです。
しかし全血輸血は輸血反応のリスクが高くなります。成分輸血の方が良い場合もあります。
FFPは血が止まりにくい状態の子に、出血を止める因子を入れてあげたい時に使用します。
猫のFFP輸血に関してあまり報告はありませんでした。
しかし、2020年に立て続けに猫のFFP輸血の論文が報告されました。

対象となった猫は報告①が121例、②が36例でした。
肝臓が悪い、がん、敗血症、凝固異常症例などの症例が対象となりました。
FFP投与中央値は①6ml/kg、②6.81ml/kgであり、どちらの報告も近いです。
基本、血液型A型、AB型の症例にはA型のFFPが、B型の症例にはB型のFFPが投与されました。
有害事象の割合は①16%、②14.8%と、こちらも似ていて、おおよそ15%ほどと考えられます。
その内容は発熱、頻呼吸や呼吸困難、低血圧などがみられました。
FFPを輸血しなければならない状態の症例ですのでこれら論文の致死率はどちらも54%でした。
FFPを投与後、約2.75時間でPTやaPTTの時間は改善がみられました。
比較的猫もFFP輸血に耐えてくれるであろうことが考えられました。

FFPの話はとても難しいので論文の内容はもっともっとありますが、この辺にします。
FFP輸血はなかなか実施できる施設もありませんが、
将来、このような治療を積極的に行うことができるようになる日が待ち遠しいです。

原文はこちら→
Retrospective evaluation of fresh frozen plasma use in 121 cats: 2009-2016
Retrospective evaluation of the indications, safety and effects of fresh frozen plasma transfusions in 36 cats (2014-2018)

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